内容説明
西洋音楽に多大な影響を与えた作曲家バルトーク・ベーラ(1881‐1945)は、ハンガリーでは、自国の民謡を採集・研究した「文化英雄」とされている。本書では、バルトークの創作における、モダニスト作曲家としての一面と、文化ナショナリズムの一面とが、どのような関わりをもっていたのかを分析し、バルトークの作品様式にも同じ二面性があらわれていることを論証する。そして彼が、民俗音楽の「プリミティヴィズム」を取り込むことで、自らの芸術性を拡大していったさまを、豊富な譜例をもとに明らかにしていく。
目次
1(民俗音楽の「精神」を求めて―バルトークの文化ナショナリズムとモダニズム;音楽のナショナリズムからプリミティヴィズムへ―バルトークと一九一〇年前後)
2(イデオロギーとしての「農民音楽」―バルトークの民謡研究と近代的な藝術観;音楽史の中の「農民音楽」―ストラテジーの複合性;クライマックスのストラテジー―バルトークの器楽曲をめぐって)
3(民謡研究者バルトークの用語法―音楽構造の解釈の歴史性;プリミティヴィズムの新たな展開―ストラヴィンスキーの新古典主義と一九二六年のバルトーク)
著者等紹介
太田峰夫[オオタミネオ]
1969年生まれ。1996年に東京大学大学院人文科学研究科修士課程を修了後、ハンガリー政府奨学生としてブダペストに留学。2009年に東京大学大学院人文社会研究科博士課程を修了。博士(文学)。2013年より宮城学院女子大学音楽科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件