出版社内容情報
「情念」の歴史と実験心理学を描きながら、「感情の哲学」によって心身二元論を乗り越えようとしたアランの姿を明らかにする力作。
「魂の医術」としての哲学
20世紀の哲学において、「情念」とは「死んだ」概念であった。
19世紀末に哲学の教育を受けたアランは、生理学的な心理学の成果を吟味した結果、「情念」の概念に辿り着き、これを自らの思想の中核に据えた。
アランが、20世紀初頭に「情念」という概念を見出し、自己の思想に持ち込んだ必然性はどこにあったのだろうか?
勃興期の実験心理学と哲学の関係を描きながら、「心理学の時代」となった20世紀に情念概念の積極的な意義を論じたアランの姿を明らかにする力作。
序
第1部 アランの情念論と情念論の伝統
第1章 アランの情念論とその生成の問題
第2章 フランスにおける情念論の伝統
第2部 知覚と情感性の理論
第3章 知覚の理論
第4章 情感性の理論
第3部 実験心理学の感情研究と 認識論上の諸問題
第5章 心理学と形而上学
第6章 アランの心理学批判
第7章 「神経学的身体」の時代における情念論
第8章 「悲しいマリー」―― 傾向心理学の批判
第4部 感情の哲学
第9章 「感情の哲学」の構想と展開
第10章 「感情の哲学」と実験心理学
結論 魂の医術
引用・参照文献
第三共和政下の中等教育における哲学指導要領(抜粋)
アラン「感情の哲学」フランス語翻刻
人名索引
【著者紹介】
新田 昌英
東京大学人文社会系研究科助教。
1978年生まれ。2010年東京大学大学院人文社会系研究科単位取得満期退学。博士(文学)(東京大学、2011年)。
2012年4月より、東京大学大学院人文社会系研究科助教、東京理科大学非常勤講師。
専門は、フランス近現代思想。
内容説明
哲学者アランはなぜ自らの思想の中核に「情念」を据えたのか?フランスにおける哲学と実験心理学の関係を分析することで、アランの哲学の核心を徹底解明するとともに、19世紀の埋もれた思想史を掘り起こす。
目次
第1部 アランの情念論と情念論の伝統(アランの情念論とその生成の問題;フランスにおける情念論の伝統)
第2部 知覚と情感性の理論(知覚の理論;情感性の理論)
第3部 実験心理学の感情研究と認識論上の諸問題(心理学と形而上学;アランの心理学批判;「神経学的身体」の時代における情念論;「悲しいマリー」―傾向心理学の批判)
第4部 感情の哲学(「感情の哲学」の構想と展開;「感情の哲学」と実験心理学)
結論 魂の医術
著者等紹介
新田昌英[ニッタマサヒデ]
1978年生まれ。2010年東京大学大学院人文社会系研究科単位取得満期退学。博士(文学)(東京大学、2011年)。2012年4月より、東京大学大学院人文社会系研究科助教、東京理科大学非常勤講師。専門はフランス近現代思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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