内容説明
世界は原発危機から何を学ぶべきか。
目次
第1章 福島原発危機を日本の資本主義のなかに位置づける
第2章 日本の電力産業史と東京電力の戦略変化(原子力開発における政治的企業家と組織;電力産業の社会主義的性格;なぜ福島だったのかあ;福島第一原発建設後の東京電力の戦略変化―民間主導から官民協調へ;福島原発危機)
第3章 なぜ福島原発危機はおきたのか(システム事故と構造的不確実性;福島第一原発事故による基本財毀損問題;一つの世界としての共有無知―資本主義の呪縛とケイパビリティの欠如;共有無知としての福島原発危機の類推的推論)
第4章 日本の資本主義とビジネス・エコシステム・ガバナンス(みえる手は消えていない―電力産業の社会主義的性格の再検討;制度の複合的失敗に特徴づけられた日本の資本主義;多能とビジネス・エコシステム・ガバナンス)
第5章 競争と多様性のためのダイナミック・ケイパビリティ
著者等紹介
谷口和弘[タニグチカズヒロ]
慶應義塾大学商学部教授。ケンブリッジ大学企業研究センター(イギリス)招聘フェロー。南開大学商学院(中国)訪問研究員。2010年‐2011年ケンブリッジ・ジャッジ・ビジネススクール(イギリス)アカデミック・ビジター、2008年‐2011年仮想制度研究所(VCASI)フェローなどを歴任。専攻は、比較制度分析、戦略経営論、会社と持続可能性(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かしぱん
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フクシマの問題は日本の資本主義の問題が集約したものであり、さらに世界の問題であるともとらえ、その原因・問題をケイパビリティ論的視点と歴史的観点から追及しその解決策を展開している。 フクシマの問題は情報の非対称性とか電力会社の組織的特徴のみが原因だけでなく、原発に対しての陳腐化した価値を歴史的に積み重ねてきた、長期的なものであるってこと。日本の資本主義もこのような陳腐化した価値を歴史的に埋め込んできたことに問題があるとして関連付けている。 超簡単に言うと、点でなくて線でみろってこと。かな2013/04/15