内容説明
1882年(明治15)に創刊され、以後、福澤諭吉が自らの言論活動の主要な舞台とした日刊紙『時事新報』。その詳細な解読によって新たな福澤論の地平を拓きながら、志半ばで早世した著者の先駆的な論考を集成。紙面の隅々にまで目を通し、論説と時代状況との関わりを検討、同時代の文脈に福澤諭吉=『時事新報』の意図を浮かび上がらせる研究は、今こそ精読に値する。また、福澤の著作が李氏朝鮮開化派の領袖朴泳孝へ与えた影響を追究し、福澤思想のアジアへの広がりに目を向けた力作も掲載。現在、第一線で活躍する研究者たちによる解題(川崎勝)、解説(都倉武之、西澤直子)を付し、福澤諭吉研究の大いなる遺産を現代に甦らせる。
目次
1 福澤諭吉のアジア観(「脱亜論」の源流―『時事新報』創刊年に至る福澤諭吉のアジア観と欧米観;福澤諭吉の朝鮮観―その初期より「脱亜論」に至るまで)
2 『時事新報』とアジア(『時事新報』論説の対清論調(一)―創刊より一八八五年末まで
『時事新報』論説の対清論調(二)―一八八六年より一八九三年まで
創刊年の『時事新報』に見る複眼的対外観―一八八二年三月~十二月の主要外報記事より
『時事新報』論説における朝鮮問題(一)―壬午軍乱前後)
3 福澤諭吉と朴泳孝(朝鮮開化思想と福澤諭吉の著作―朴泳孝「上疏」における福澤著作の影響;朴泳孝の民本主義・新民論・民族革命論―「興復上疏」に於ける変法開化論の性格;福澤諭吉・朴泳孝・梁啓超の新民論―東アジア近代思想の相互関連性)
著者等紹介
青木功一[アオキコウイチ]
1930年生まれ。1970年、東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ベルリン自由大学東アジア学科図書室長、慶應義塾大学新聞研究所研究員を経て、1980年、横浜市立大学講師。同年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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