内容説明
自然の美、多様性を愛したゲーテ。等身大の人間の視点を失うことなく、終生、誠実に自然と対話し続けたゲーテの詩と科学の交感を鮮やかに描く。
目次
序章 詩人ゲーテのもう一つの貌“ポエジー”と“科学”
第1章 始まりはイルム河畔の「庭の家」―ゲーテと植物学
第2章 種痘と解剖実験―ゲーテと医学
第3章 避雷針と望遠鏡―ゲーテと物理学
第4章 生命が充満する宇宙と天文台―ゲーテと天文学
第5章 地球の形状とプロイセン大尉―ゲーテと測地学
最終章 ゲーテの「世界文学」と物語詩『魔法使いの弟子』
著者等紹介
石原あえか[イシハラアエカ]
慶應義塾大学商学部教授。慶應義塾大学大学院在学中にドイツ・ケルン大学に留学、同大でDr.phil.を取得。学位論文Makarie und das Weltall(1998)以来、一貫してゲーテと近代自然科学を研究テーマにしている。2005年にドイツ学術交流会Jacob‐und‐Wilhelm‐Grimm‐F¨orderpreis受賞。2005年刊行のGoethes Buch der Naturにより、第三回日本学術振興会賞および日本学士院学術奨励賞(FY2006)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
taku
15
文学と科学双方に優れ独創的な貢献をしたゲーテ。幾つもある貌のうち自然科学者として多岐に渡る分野への関わりを解説してくれる。当時の科学と社会の背景や文学などの逸話を交え、そそられる内容になっている。自然研究者や官僚の側面が表れているという目線で『ファウスト』を再読してみたい。ニュートンがプリズム分光によって虹の色彩を解明した際の話は、文学と科学の緊張が感じられ特に印象的だった。ニュートン光学を批判したゲーテの「色彩論」、功績の称賛と神秘性の喪失に落胆する文壇の評価や詩人の表現に感嘆する。2021/02/28
loanmeadime
15
きっかけはユリシーズに出てくるジャイアントコーズウェイと玄武岩について色々検索するうちに、「ゲーテの玄武岩論争」に関する著者の論文を見つけたことです。これにについて地質屋さんに訊いて見たところゲーテの「地質学論集」というのを教えてもらいました。先日、図書館で借りてチャレンジしてみましたが、ちょっと歯が立たない感じだったので、こっちに。近代自然科学の興隆期にあって、様々な分野に積極的に関与したことが、ゲーテ研究の醍醐味、というように、植物学から測地学まで実に広範な話で、検索をしながらの楽しい読書でした。2020/07/07
tieckP(ティークP)
6
教えを請うたことがあるのでステマのようだけど非常に良著。実力派のゲーテ研究者が、博論から十余年に渡る研究を惜しげも無く盛り込んだ入魂の書。とはいえ文章は柔らかく、また研究書にありがちな無味乾燥さはなく、ところどころに詩的な雰囲気も盛り込まれていて、知識を得る以上に読んでいて心地よい本である。個人的には理屈をこね回すタイプの研究書より、小説好きだけが書けるような温かみがあるこうした本の方が好み。またゲーテ以外に話が膨らむときの博識っぷりやドイツ由来らしい文献学の緻密さなども兼ね備えていて、惚れ惚れする。2013/09/08
小谷野敦
4
2010年のサントリー学芸賞受賞作で、著者が紫綬褒章を受章したので読んでみた。ゲーテが自然科学に関心が深かったことは周知のことで、特に目新しいことは書いてなかったが、きっと優秀な人なのだろう。虹が古来人々を魅了してきた、とあるが、東洋では虹は不吉なものとされてきた。2024/11/09
ばん
4
当時の科学受容、芸術受容の背景が詳述されており(かといって込み入らず)、ゲーテの自然観というものを、その作品にも反映されている、科学者としての視座というものを、とらえることに非常に助けになる。良書。欲しい。2013/11/01
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