内容説明
「権力と民主主義」「熟議民主主義ははたして有効か?」「司法の力はどのように利用されるべきか…」さまざまな課題に対し、シャピロは分裂した現代社会に有効な民主主義のかたちを提示しようとする。マキァヴェリ、ルソー、マディソンからフーコー、シュンペーター、ダールまでを俯瞰し、分裂した現代社会にふさわしい政治理論の再構築を試みた、現代アメリカ政治理論の重鎮、待望の本邦初訳登場。
目次
第1章 共通善
第2章 支配か熟議か
第3章 権力と民主的競争
第4章 民主主義の実現と維持
第5章 民主主義と分配
第6章 民主主義理論の現状を再考する
著者等紹介
シャピロ,イアン[シャピロ,イアン][Shapiro,Ian]
1956年生まれ。1983年イエール大学で政治学博士号取得、1985年レオ・シュトラウス賞受賞、1987年イエール大学ロースクールで法学博士号取得。現在、イエール大学政治学部Sterling Professor、同大学マクミラン国際地域学センター所長
中道寿一[ナカミチヒサカズ]
1947年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。法学博士。現在、北九州市立大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Francis
8
10年近く積ん読していた本。簡単にまとめられないのだが、民主主義についてかなり現実的に考えられている本。民主主義について理想倒れな本が多いが、これは良書。2019/09/18
koji
2
構造化された権力競争こそ、政治支配を制限するよりよい方法であり、競争より合意が優れているという議論は不十分。アメリカ民主主義を貧困層の要求に対して敏感に反応させ、貧困を撲滅させることこそ、民主主義の存続につながると著者は述べます。グローバリズムの中で民主主義が生き残る知恵について深く考えさせられました。(以前、別のペンネームで書いたものをkojiに移しました)。2010/09/21
ざっきい
2
民主主義シリーズとして読んだ本。民主主義は権力の暴走に対抗できる手段・手続きである、というプラグマティックな考えを軸にしている。現実的な考察であり、よくよくインセンティブ的解決案に行き着く所もアメリカっぽい。貧困問題に1章を割いており、なぜ再分配が選挙にて扱われづらいのか詳解している。良書であるが、2003年刊行なので、オキュパイウォールストリート運動は後の話となる。2016/08/08
denz
1
そうかシュンペーターに帰ろう。2010/10/08
メルセ・ひすい
1
13-90 シャピロの民主主義理解・「支配を極小化するために権力関係をうまくコントロールする手段である」、共通善、一般意思の表明を目的とするよりも、支配の制限ないし極小化を目的とするものである。とする ローレルの解釈のように権力から切り離された真空状態におかずヒエラルキーや権力不均衡という現実の権力関係の中においててらえるべきであるとしている。様々な課題に対し、分裂した現代社会にふさわしい政治理論の再構築を試みた、現代アメリカ政治理論の重鎮の重要著作。 2010/05/23