ファウストとホムンクルス―ゲーテと近代の悪魔的速度

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  • サイズ B6判/ページ数 155p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784766416695
  • NDC分類 940.28
  • Cコード C0097

内容説明

ゲーテ、不朽の名作『ファウスト』。その第2部に登場する人造人間ホムンクルスは、フラスコの中の人工生命体という「不完全」な形でこの世に産み落とされた。「完全」な人間になることを願って彷徨うホムンクルスの姿に、ゲーテは一体、どのような意味を込めたのか。近代自然科学の発展にともない、神や神学支配からの解放が徐々に進んでいくなかで、ゲーテは自然科学の発展を評価し、自らも貢献したが、一方で、彼は自然の悪用に対して強い危惧を抱いてもいた。本書では、ゲーテ畢生の大作『ファウスト』等、後期3作品を解読し、近代の「悪魔的速度」や、人間の理性に潜む野蛮さ、暴力性に鋭い眼差しを向けたゲーテの思想の真髄をあきらかにする。

目次

序章 もしくはベルリン嫌いのゲーテ
第1章 「すべては悪魔的速度で」ファウストと加速化の時代
第2章 ホムンクルス あるいはスピードダウンする時間
第3章 オッティーリエ「悪魔的速度」の拒否
第4章 時間の停戦 ゲーテは預言者だったのか?
マックス・ベックマン画『ホムンクルス』―ゲーテの超人類

著者等紹介

オステン,マンフレート[オステン,マンフレート][Osten,Manfred]
ドイツの作家・批評家。元外交官、法律家。1938年旧東独メクレンブルク州で生まれる。1952年ドイツ連邦共和国へ亡命。1969年ケルン大学で法学博士号(Dr.jur.)取得。同年ドイツ外務省に入省。以降、フランス、ハンガリー、オーストラリアのドイツ大使館勤務。1986‐1992年、東京ドイツ大使館で文化・領事部長。1993年日本政府から旭日章受章。アレクサンダー・フォン・フンボルト財団前事務総長(1995‐2004年)

石原あえか[イシハラアエカ]
慶應義塾大学商学部教授。哲学博士(Dr.phil.ケルン大学)。ゲーテと近代自然科学を中心とした学術論文を発表し続けている。ドイツ学術交流会Jacob‐und‐Wilhelm‐Grimm‐F¨orderpreis(2005)、日本独文学会賞(ドイツ語論文部門、2006)、日本学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞(FY2006)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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