内容説明
太平洋戦争のさなか消えたオーストラリア船ナンキン号と乗員乗客の辿った数奇な運命。
目次
第1章 横浜、もう一つの「外人墓地」―女性捕虜の名前を刻んだ墓石
第2章 福島の修道院―突如、敵国人の収容所に
第3章 再建された白い十字架―悲しき再会
第4章 キャンベラへ―オーストラリア船「ナンキン」号を追って
第5章 秘密の匂い―不自然なオーストラリア軍部の動き
第6章 沈黙の理由―盗まれていた極秘情報
第7章 同盟国とは?―ドイツとの奇怪な関係
第8章 戻ってきた五十年前の捕虜―国の事情に振り回された人
第9章 捕虜たちの告発―残された膨大な記録
第10章 「ナンキン」号の最期―ドイツ船として横浜港で爆沈
著者等紹介
遠藤雅子[エンドウマサコ]
1937年、兵庫県芦屋市生まれ。ノンフィクション作家。十年に及ぶオーストラリア滞在の経験を生かし、日豪関係を中心にしたテーマを幅広く取材追求し続けている
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感想・レビュー
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小説大好き
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1冊の調査報告書としてとても真摯で良い本だと思いました。著者の調査能力と根気に頭が下がります。神奈川県の「英連邦戦死者墓地」(CWGCが管理する世界で唯一敵国側に存在する墓地)に訪れたことをきっかけに、とある民間人の捕虜としての生涯を足を使って解明していき、戦争が民間人にとって如何に残酷だったのかを浮かび上がらせています。英連邦戦死者墓地に関する調査としては、青山学院大学が纏めた造園士の記事があったかと思いますが、そちらがかなり偏りのある日本批判・若者批判に見えるのに対し、こちらは中立に近い気がします。2024/11/26