内容説明
最新作から蒐集品、書き下ろしエッセイも収録。民藝からアートへと飛躍した、92歳の染色家の美意識と哲学。
目次
01 作品紹介
02 作品が生まれる現場
03 作品のある風景を訪ねて~松本編
04 蒐集品と審美眼
05 光原社を訪ねて~盛岡編
06 柚木沙弥郎の言葉
著者等紹介
柚木沙弥郎[ユノキサミロウ]
1922年、東京都生まれ。民藝運動の提唱者、柳宗悦との出会いをきっかけに、後の人間国宝となる染色工芸家、芹沢〓(けい)介に師事。染色家の道を志す。以降、日本における型染の第一人者として、現在に至るまで制作を続け、数多くの個展やグループ展で作品を発表。現在も東京・渋谷区の自宅にて精力的に創作に励んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ykshzk(虎猫図案房)
16
私がこの人を大好きなのは、以前TVで「60才ぐらいまで、なんでもきちんとやらないといけないと思っていた」と語っていたのを聞いたから。年齢関係なく自分というのは解き放てるものなんだと。また、きちんとやらなきゃと思ってしまうことも悪くはないと、作品を通して静かに勇気付けてくれるから。そんな柚木氏の「きちんとやっていた」頃の作品も、解き放たれてより心の思うままに作り出す作品も、私は両方好きだ。デザインと違い、アートは夢を追って生きるその人そのものの独創的な表現。歳を重ねてこんな風な顔になりたいと思う憧れの人。 2020/12/29
まさこ
8
「デザイン」より「図案」という言葉が似合う。切り絵らしい潔さ、発色と組み合わせ、布や和紙などの柔らかい基材の魅力もあるのかな。芹沢銈介の弟子というのは納得。IDEEの展覧会の青黒も素敵。型染めいいなぁ。松本行ってこよう。2022/02/18
Yuko
6
何歳になっても創作意欲を失わない柚木さんの92年。彼の作品とともに、興味をひくもの、面白がるもの、集めたものなど、日々の楽しみがぎゅーっと詰まっていて、楽しい一冊。 芹沢銈介が旅先のバルセロナ、カタロニヤ、フィレンッェ、アッシジなどから出した絵葉書を受け取った柚木は、衝撃を受け、居ても立っても居られず、師の後をなぞるように旅に出たという。(p143) 蒐集品を見ていると、物を生み出す才能は無くとも、好きなものは好きと高らかに宣言し、感じたことを恥ずかしがらずに言える勇気を持って生きたいと思った。 2017/06/12
Toshi
5
「嬉しくなくちゃ、つまらない。」染色家柚木沙弥朗のモットーである。その言葉どおり、彼の作る型染めは、天真爛漫、自由奔放で、見ていて嬉しくなるのである。これはそんな柚木の作品と、彼にインスピレーションを与え続ける各地から集めた民芸品の数々、そして彼とその作品を愛する人たちをエッセーでつないだ、読んでいて「嬉しくなる」一冊である。柳宗悦の民藝運動に魅かれ、アートではなく身近な手仕事に拘る柚木は、98歳になった今日も製作に励んでいる。2020/07/27
翠
5
大好きな作品が載っているかな〜と借りてみましたが、残念ながらありませんでした…。 創作意欲をくすぐる写真の多さです! 苦しいとき、自分を外側から見て面白がることが必要 いいと思ったその感覚を大事にすべき2018/08/26