内容説明
「暮しの手帖」初代編集長、花森安治の情熱の編集者人生。日本エッセイスト・クラブ賞受賞の名著復刊。
目次
編集長の二十四時間
大学卒業まで
大政翼賛会のころ
「手帖」創刊の前後
商品テストへの挑戦
写真帖から
一〓(せん)五厘の気概
著者等紹介
酒井寛[サカイヒロシ]
1929(昭和4)~2010(平成22)年。埼玉県生まれ。東京大学文学部社会学科卒業。朝日新聞入社、仙台支局、東京本社学芸部を経て編集委員。1989年、『花森安治の仕事』で、第三十七回「日本エッセイスト・クラブ賞」を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bluebird
10
書店の花森安治生誕100年フェアで氏が装丁した美しい本が並んでいたのですが、氏の人柄に興味を持っていたので、いちばん地味なこの評伝を購入。『暮しの手帖』の編集・記事の執筆・表紙の絵やタイポグラフィ・挿絵・写真撮影・誌面デザインまでほとんど全てに関わったマルチな才能を持った方ですが、その全てに独特の美学が貫かれており、とても素晴らしいのです。どんな仕事でも徹頭徹尾『暮しの立場』に立ち続けた氏の凄まじい人生に“人に伝える”ということと、“美しさ”についての根本を教わりました。全ての人に読んで欲しい1冊です。2012/03/22
アキナ
9
「とと姉ちゃん」の花山さんのモデルとなった花森さんについて。花山さんもすごいですが、花森さんはそれ以上の傑人でした。戦争の責任は女の人にはないのに、女の人はとても苦労している、だから女の人のためになるような雑誌が作りたいと、ペンを持ち続けた花森さん。まさに、剣よりも強いと言えるペンでした。2016/09/19
テキィ
6
花森さんが表紙の絵を描くときに「ぼくは画家じゃないから絵を描くのは苦しいんだ」というのが、僭越ではあるが痛いほどわかる。嬉々として絵を描けるほど絵はうまくないし、自分の絵を見てがっかりすることの方が多い。ほんとに切ないよ…2012/03/26
gotomegu
4
大橋鎭子さんの本を読んで、花森さんってどれだけすごいひとなんだろう?と興味を持ったので。考える、デザインする、がめちゃくちゃできてるひとだったんだろうな。それも、俯瞰して広い範囲でできていた。視座が高い。雑誌「暮らしの手帖」の編集長として戦後のおしゃれをひっぱり、文豪や有名人にエッセイを書いてもらう。商品テストは、実際に使ってみる作業がすごい。結果的に日本の工業製品を改善する大きなきっかけになった。見えてる景色が違うからこそ、まわりもなんとかついてきて、実現できたように思う。2022/01/05
つか
3
暮しの手帖を作った人はこんな人だったのか。広告を出さない雑誌にした意味、戦中戦後に何をしていたのか、どれも興味深くて面白かった。自分を貫く厳しさと、人を巻き込む柔らかさもあったんだろうなと思います。美しい暮しを再認識したい。2014/05/11