内容説明
戦後、観光開発をリードしてきたのは、いわゆる大物のオーナー型経営者である。彼らは政治力を駆使して、公共投資によるインフラ整備や巨大イベント開催などに関する情報をいち早く収集し、また土地の確保にあたって有力政治家を動かすなどして大がかりな観光開発を進めた。そうした大物たちの観光開発における足跡を克明に追い、同時に彼らの事業観、開発戦略、開発手法などを徹底的に比較するという新たな角度で、戦後観光開発史を検証したのが本書である。
目次
序章 大物たちの軌跡と時代背景
第1章 堤康次郎と五島慶太
第2章 五島昇と堤義明
第3章 小佐野賢治
第4章 ホテル御三家
終章 バブル経済と観光開発
感想・レビュー
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コカブ
2
堤康次郎・五島慶太(+堤義明・五島昇)・小佐野賢治・ホテル御三家(帝国ホテル・ホテルオークラ・ホテルニューオータニ)などの登場人物たちの戦後の観光開発についてまとめている。まずは東急と西武で観光開発競争があったという話。東急も西武も、鉄道を敷設して沿線を開発するという点では同じだった。そういった線の確保が、箱根山戦争や伊豆戦争と呼ばれる摩擦を引き起こす。東急はバス会社・鉄道会社を傘下に収めて地域開発に乗り出すという手法だった。一方、西武は堤義明が冬の軽井沢に客を呼ぶリゾート建設を行うなど、拠点開発を行う。2015/02/04