内容説明
現代の水資源問題のキー・ワード「複雑さと対立」の脈絡の中で、実際の事例における複雑さを解きほぐし、対立の内容や構造を客観的に明らかにすることで、工学とマネジメントの原理を帰納的に導き出し、新しい水資源マネジメントの包括的枠組みを提案する。米国における水資源開発とマネジメントの先行的かつ様々な社会実験から獲得した学際的視点。調整された包括的共同計画の立案。市民参加や環境保護団体の意義。協働的リーダーシップ。意思決定支援システムの構成と要件。適応型マネジメント。パートナリング。市場原理に基づくアプローチ。非構造物的アプローチの重視。対立のないところに統合化はない。流域マネジメントには核になる機関が必要。などの概念や原理は、今後、日本が水マネジメント・システムを具体化していくのに大いに参考になろう。そして、事例に学び原理を抽出するという方法論そのものについても、複雑な水問題に対応して我々は学んでいく必要があろう。
目次
第1部 水マネジメントの原理(水事業のマネジメント;水文学と水環境;水インフラとシステム;計画立案と意思決定のプロセス;システム解析、モデル、および意思決定支援システム ほか)
第2部 水資源マネジメントに伴う諸問題:事例研究(水供給と環境:Denver Water’s Two Forks Project;洪水調節、氾濫原管理および雨水管理;水インフラの計画とマネジメント;貯水池の運用とマネジメント;水質管理と面源負荷コントロール ほか)
著者等紹介
Grigg,Neil S.[Grigg,Neil S.]
米国コロラド州立大学工学部教授
山岸俊之[ヤマギシトシユキ]
元、水資源開発公団理事。現、井上工業株式会社代表取締役副社長
浅野孝[アサノタカシ]
カリフルニア大学デーヴィス校工学部土木・環境工学科教授
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