内容説明
父は明治のコックさん。文明開化の横浜で修行を積んだのちに北海道に渡り、皇太子だった大正天皇行幸のお供をしました。そして王子製紙のある北海道苫小牧市で洋食の草分けの店を開いたのです。戦前、戦中、戦後を生き抜いてきたレトロでモダンな洋食屋の物語。ほんとうのお話です。北海道新聞連載「西洋料理と私」単行本化。
目次
皇太子の料理人
苫小牧に洋食店開店
夢多き大正少年
家業の洋食の世界に
憧れの斎藤茂吉
洋食あれこれ
食材、食品あれこれ
戦時中、終戦直後のこと
川上澄生との出会い
さまざまな文化人が訪れて
著者等紹介
山下正[ヤマシタタダシ]
大正2年(1913年)苫小牧生まれ。三兄弟、一姉の次男。父のあとを継ぎ洋食一筋。現在は長男夫婦が店を継ぐが、年に数度は駆り出されて厨房に立つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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翔亀
47
苫小牧は観光ガイドには出てこない。紀行文の類でも乗り換え地の扱い。串田孫一も「製紙会社の社宅ばかりと言ってもいい街」(1962)の一言だけ。そんな中、苫小牧初の洋食店(1919開業-今もまだある)の二代目(1913生)による本書は、苫小牧史として貴重だ。これを読むと王子製紙の街だということがよく判る。洋食店を開業した父も王子製紙の迎賓館(今の苫小牧随一のホテル・グランドホテルニュー王子)のコックであり、当然社宅に住む。西尋常高等小学校も殆ど社宅の子。地域文芸誌やスケートを主導したのも王子製紙の社員なのだ。2015/04/18
Gen Kato
0
資料として。「明治のコックさん」の話はメインではなかった…2013/08/11