出版社内容情報
《内容》 身体運動は、日常の健康生活や競技スポーツの場でそれぞれ重要な成果を挙げてきた。 健康運動の指導や競技スポーツのトレーニングに際しては生理学的適応の課程を見ながら、目標のレベルに到達することが可能となる。 運動効果が適応課程で科学的に分析され、理解されることになれば、当然その結果はトレーニングプログラムや運動処方に活用できる。この事実や経験を適応生理学的な観点から科学的に認識し直す試みをした書物は少ない。本書はその意味で得難い内容が記載されている好書である。 《目次》 1章 運動適応について1.適応概念2.運動適応の事実3.運動適応のメカニズム4.運動適応のトレーニング2章 適応の生物モデル―運動機能の温度変化への適応【生物と熱】1.熱とは何か2.生物生存の温度域3.生物の代謝速度と温度4.生物の体温5.運動機能と温度3章 工学的適応機構1.適応制御理論への導入2.生体の運動学習制御系と適応機構4章 生体機能の運動適応1.運動による分子レベルの変化と適応現象(1)ミトコンドリアのエネルギー生産系と運動(2)糖代謝系酵素と運動(3)脂質代謝系酵素と運動(4)タンパク質・アミノ酸代謝系酵素と運動2.運動による細胞レベルの変化と適応現象(1)細胞内情報伝達の概略(2)運動による細胞レベルの変化と脱感作(3)細胞レベルから見たトレーニングによる適応現象3.運動による筋組成の変化と適応現象(1)骨格筋の特性と筋線維の動員様式(2)連動トレーニングによる骨格筋の変化(3)脱トレーニングによる適応変化4.運動による心臓の構造と機能の変化と適応(1)運動による心臓の構造的変化(2)運動における心臓の機能的変化(3)運動中止に伴う心臓の変化5.持久性運動トレーニングによる骨格筋の微少循環適応(1)微小循環系の血管調節(2)骨格筋微小循環系におよぼす持久性トレーニングの影響6.運動による呼吸機能の変化と適応(1)運動時の換気および代謝応答(2)運動時の換気促進メカニズム(3)運動トレーニングによる呼吸機能の適応7.神経系の運動調整適応能(1)脊髄運動神経レベルでの運動調節適応能(2)多種多用な感覚情報を処理する視床(3)運動記憶と適応能8.運動時の自律神経機能適応(1)運動時の自律神経機能調節の特徴(2)自律神経機能適応の基礎(3)運動時の自律神経機能調節(4)長期運動と自律神経調節9.温熱環境への適応(1)暑熱適応(2)暑熱環境下での体温上昇(3)暑熱障害の予防(4)熱温順化と生理機能の適応的変化10.高所登山と低酸素適応(1)高地住民の高所順化(2)クライマーの高所順化11.陸上競技の運動適応(1)筋の形状における適応(2)筋パワーの発揮能力における適応(3)持久性の運動適応12.筋力競技者にみる最大挙上重量と筋肥大のトレーニング(1)筋力競技者にみる筋肥大の生理的要因(2)ボディービルディング,パワーリフティング,ウェイトリフティングの運動様式とトレーニング法の特徴(一般論)(3)筋力競技者に視る最大挙上重量の推移と筋の肥大(4)上記種目にみる実際のトレーニング内容と共通点