内容説明
ある夜、見知らぬ人たちがお父さんを連れ去って、ロバータ、ピーター、フィリスの3人きょうだいは、ロンドンから、とつぜん田舎ぐらしをはじめることになりました。みしらぬ土地で3人がいちばん最初に友だちになったのは、9時15分ロンドン行きの蒸気機関車「緑の竜(グリーン・ドラゴン)」だったのです。20世紀初頭、英国児童文学の新時代をひらいたE.ネズビットが描く、子どもたちと鉄道をめぐる人々との心温まる物語。
著者等紹介
ネズビット,イーディス[ネズビット,イーディス][Nesbit,E.]
1858‐1924。ロンドンに生まれ、熱心な社会運動家・小説家として活動。子どもたちの日常生活をリアルに描いた『宝探しの子どもたち』(1898)をはじめ、『砂の妖精』(1902)『火の鳥と魔法のじゅうたん』(1904)により、ファンタジーの花が開く20世紀児童文学の先駆けとなる
中村妙子[ナカムラタエコ]
1923年、東京に生まれる。1954年、東京大学文学部西洋史学科卒業。翻訳家。児童文学、C.S.ルイスの著作と評伝、A.クリスティーなどの小説、キリスト教関連書など約250冊の訳書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶんこ
37
ある容疑で捕まった父。母と子どもたちは田舎へ転居。豊かだったロンドンでの生活から一変した貧しい生活。3人の子どもは駅の人と仲良しに。ある日崖崩れが起こり、それを走ってくる列車に知らせるために必死となったり、火事になったナローボートから赤ちゃんと犬を助け、トンネル内で足を骨折した学生を助けたりと大活躍。父の容疑がはれたのは子どもたちと知り合った毎朝9:15の列車で手を振り合うおじいさんのおかげであり、そのおじいさんは骨折した学生の祖父でした。それは偶然であって、計算してのことではないのが素晴らしい。 2023/03/19
さゆ
32
大人のわたしが読むと、楽しいと同時に身につまされる物語だと思った。大人というものは子どもにとって、ここに出てくる人々のようにあらねばならないものだと思うから。大人は子どもにとって、信頼できるもの、頼れるもの、助けてくれるもの、そう思える大人たちがたくさん登場する。そうやって、子どもたちは、大人の愛情に守られならが成長し、自らもそういう大人になっていくのだろう。今の子ども達を責める前に、今、大人である自らを省みないといけないんだと気づいてしまう。だから、子どもにも大人にも読んでもらいたい一冊でした。 2012/03/02
ロピケ
12
これも『本を読む少女たち』で取り上げられていて気になった本。『鉄道きょうだい』なんて冴えないネーミングながら、私としては『点子ちゃんとアントン』と一緒のジャンルに入れたい、とても好きな設定。本当に100年も昔の児童書なのか…と疑うほど、登場人物たちの感情の描き方がリアルで、時代を超えるクラッシックに成り得る作品。ちょっと『若草物語』を思わせます。ジョーは次女だったからかそこまで深刻なことにならなかったけど、長女と母親の係わりが切ない。最後の作者の物語の締め方が何ともにくい。 2013/05/28
lemon tea
10
以前「若草の祈り」として翻訳されていたもので「鉄道きょうだい」として昨年12月に中村妙子さんの新しい訳で出されたもの。ロンドンから田舎に引越してきた3人きょうだいの面白くて楽しいそして心温まる物語。登場人物ボビーには感情移入してしまいましたが、何より子ども達に対する大人の姿勢には学ぶべきものがありました。是非とも現代の子供たちに読んでもらいたい良書です。中村妙子さん、ありがとうございました! 2012/01/16
ぐるぐる244
9
「若草の祈り」角川文庫の書影がなぜか懐かしく感じられ、新しく訳されたこちらを読んでみましたが、初読だった(たぶん)。機関車に関するくだりでは、タンク機関車!そして、これはゴードンかっ!と盛り上がりました。みなさんが書かれているように若草物語を思い出させます。2017/10/21