内容説明
ひとすじな、心をうつ詩の数々は、詩人のいかなる憧憬から生まれたのか。重吉のキリスト教信仰に新しい光を当て、“神の子”の理想に近づこうとした求道の軌跡を綿密に辿る。重吉の詩の新たな魅力を引き出す画期的な新説。
目次
第1部 「求道」の軌跡―師範学校在学時代まで(「前史」―幼少年時代;バイブルクラス;八木重吉と冨永徳磨;八木重吉と内村鑑三)
第2部 詩心と「神学」―御影時代から召天まで(御影時代;柏・茅ヶ崎時代)
鈴木俊郎編『神を呼ぼう』をめぐって
著者等紹介
今高義也[イマタカヨシヤ]
1966年、茨城県つくば市生まれ。1992年東北大学大学院文学研究科日本思想史学専攻博士課程前期修了(修士論文題目「内村鑑三の思想」)。専攻は日本プロテスタント思想史・文学史。1992年宮城学院中学校高等学校教諭(国語科)となり、現職。その間、1999年4月~2000年3月まで、私学研修生として国際基督教大学キリスト教と文化研究所で八木重吉と冨永徳磨の関わりを中心に研究調査。日本思想史学会員、キリスト教史学会員、日本基督教学会員
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感想・レビュー
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Nick Carraway
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八木重吉の信仰の形成を授洗者・冨永徳磨牧師の神学より説き起こしていき、その影響下・影響後の重吉の神学の深化をたどっていく。重吉の詩は、重吉という人間の思想・信仰・生き方・人となりと不可分であり、重吉の文学の研究は重吉という人間の研究となる。このような誠実な研究を読むと、人間の生き方を離れた文学研究には知的ゲームのような面白さは感じるが、魂を揺さぶるような感動はないと改めて感じた次第。わずか29年の生涯で、限られた資料の中から重吉について、どのような読みが今後提示されていくのだろうか。これこそ学問の精髄だ。2020/12/09