内容説明
近代社会の文化的矛盾を背景に復興してきた「美徳の倫理学」と批判的に対話しながら、キリスト教美徳論の新しい可能性を示唆する。幸福について、友情について、平和について、真の「美徳」とは何かを探求する。
目次
第1部 アリストテレスの主題についての考察(時間における幸福について;幸福の美徳;旅における仲間たち―友情の必要性)
第2部 現代の美徳復興に対する応答(美徳の革新とキリストの平和;友情と脆さ;異教主義的美徳とキリスト教的思慮)
第3部 キリスト者の美徳の実例(希望に満ちた美徳の展開について;服従は美徳か;勇気の実例;忍耐の実践―キリスト者の病み方)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
6
「エルシュタインが観察したように、ギリシャ人にとって、戦争は、自然状態であって、社会の基礎である。さらに、戦争の前提は、マキャベリやルソーのような偉大な市民的共和主義者によっても維持されている。だから、マキャベリの『君主論』の第一の義務は、軍人であることであり、市民たちの兵隊を作ることである。つまり、市民を守る兵隊ではなく、軍隊である市民を作ることである。この点で、ナポレオンは、マキャベリを充分に実現した。また民主化された秩序とは、全ての市民が兵隊にならなければならないという考えに基づいている。」2020/03/03