内容説明
氷河期から冷戦後まで、スペインからロシアまで、ミノス王からサッチャーまで。全ヨーロッパ史を描ききった話題の書刊行開始。
目次
序論
第1章 半島―環境と先史時代
第2章 ヘラス―古代ギリシア
第3章 ローマ―古代ローマ(前753‐後337年)
第4章 起源―ヨーロッパの誕生(330項‐800年)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
10
ダイナミックなスケールの事象を一気に読ませる読みやすさと、常に「ヨーロッパ」という枠組み自体を問い直す批判的視点が見事に融合した最高レベルのヨーロッパ通史。ヨーロッパははじめからそんなものが確固としてあったわけではなく、世界史の中心でもないし、キリスト教だけに代表されるものでも、西洋とイコールのものでもない。イスラム教も東方ローマも全て含み、常に多様性に目を向けながら先史時代からギリシャ、ローマ、民族大移動に東ローマと中心の流れもギリギリ損なわない文章力に脱帽する2013/11/10
ジュン
4
序章や先史時代が約200ページもあり、なかなか「歴史」がはじまらずもやもやした笑。しかしその序章のテーマだてが重要で、本書を価値のある4冊にしている。デイヴィスの本はいつもポーランドがヨーロッパの震源地にされており、意見が分かれるだろう。2019/05/05
Fumitaka
2
小麦の話が気になるんですよね。小麦が刈り入れ以外は人手が必要としないから米と水田の文化のアジアとかとは違って個人主義や議論の文化を育てる土壌になったというのが。話としてはとても「面白い」んですが、どこまで証明できるんだろう。ノーマン・デイヴィス、どうもポーランド関連では今では突っ込まれたりもしてるようですが(渡辺克義先生の『物語 ポーランドの歴史』中公新書を参照)。あとフェニキア文字がギリシア文字の元になったというのは、話としては知っているが日本語で読んだのはこの本が初。2019/02/23
KN
2
マホメットが存在しなければ、フランク帝国もシャルルマーニュも存在せず、後に「ヨーロッパ」と呼ばれることになる文明が誕生することもなかったという。イスラムの興隆がヨーロッパを孤立させたことで、西の中心地が地中海からフランクへ移動し、封建制度の基礎が敷かれ、キリスト教の結束が高まったからだ。西ヨーロッパ中心史観の陥穽を避け語られるヨーロッパ史。一巻当たり500ページの大著だが、そこかしこに挿入される雑学的コラムを読み飛ばせば意外なほどすらすら読める。2017/01/19
xin
2
一人でヨーロッパ全体の通史を書くという壮大な挑戦。しかも西ヨーロッパだけではなく、きちんとヨーロッパ世界全体(キリスト教、地理的範囲、印欧語族、ローマ帝国etcという複数のプレートの複合体としてのヨーロッパ)を捉えきろうという試みである。一部ややこしいところはあるものの一気呵成に読み進めてしまう面白さがある。2016/02/27