出版社内容情報
《内容》 嚥下障害は,脳卒中患者や頭部外傷患者にしばしば現れる深刻な障害であり,嚥下の管理次第によって命にかかわる重篤な障害を引き起こすものである.にもかかわらずわが国にはこうした重要な患者管理に関わる知識や技術が書籍としてまとめられたものが極めて少ないのが現状である.本書は,嚥下障害への対策を確立するために,医師,栄養部門,言語療法士,作業療法士の役割分担を明らかにし,評価から治療までの一貫したプログラムを紹介したものである.段階的な嚥下障害食の提案,摂食評価と摂食指導,用具の紹介と使用法から,医療スタッフがチームを組み,摂食自立訓練プログラムを展開していく際の方法,事故の予防対策,カウンセリング,構音障害への配慮までが非常にコンパクトにまとめられている.さらに付録では和食を中心にした嚥下障害食メニューも書き下ろしで解説されている. 《目次》 第1部 基礎 1.はじめに 2.正常な嚥下の生理 口腔相/咽頭相/食道相 3.嚥下障害:嚥下における問題点第2部 評価 4.嚥下障害患者の評価:治療の開始 はじめに/初期評価/摂食試行による嚥下機能の直接的評価 5.直接評価と摂食試行の結果の解釈 障害のパターン/患者の行動パターン/嚥下障害の評価報告第3部 治療 6.嚥下障害患者の治療:基本事項 安全対策/治療プログラム施行中の各種データの定期的チェック/代替摂食法の併用/使用する食物の考察 7.嚥下障害患者の治療:障害程度の段階分けと嚥下障害食のマニュアル 段階分けとその内容/嚥下障害の食餌マニュアル 8.嚥下障害のリハビリテーションへの準備 患者/ST/治療プログラム 9.治療:嚥下障害の摂食プログラム はじめに/備品と用具/嚥下誘発の特殊テクニック/直接的治療の開始/実際の経口・摂食プログラムのたて方/摂食プログラムにおけるリハビリチームの連携/摂食プログラムの患者指導とカウンセリング/摂食プログラムの補助的運動練習/治療終了サマリー10.特殊なタイプの嚥下障害の治療 頭部外傷の患者/神経変性疾患の進行による嚥下障害/輪状咽頭筋の機能障害による嚥下障害11.結語 リハビリテーションの所要時間/治療の結果/将来付録1 A.嚥下障害評価法 B.構音運動評価の単語表 C.嚥下過程に関与するおもな脳神経とそれらの障害による問題 D.片側および両側の神経損傷による口腔嚥下器官の運動所見 Е.言語療法および嚥下障害治療終了サマリー(例1) F.言語療法および嚥下障害治療終了サマリー(例2) G.評価報告:輪状咽頭筋レベルの嚥下障害(例) H.スタッフ指示書(例) I.摂食指示書 J.嚥下障害食調理法付録2 日本における摂食・嚥下訓練―用具と食品について― 用具について/食品について 救急法 気道閉塞の原因/気道閉塞の診断/気道内異物の除去法参考文献