内容説明
友人の条件、かしこぶりのアホ、すばらしき老人力―。徒然草に綴られたメッセージを作家松村栄子の解釈で読み解く。
目次
随筆を書くということ
“恋愛論”というもの
子たちをめぐって
予測できないという予測
京の夏、京の美学
友人の条件
文芸という聖域
『源氏物語』と『徒然草』
古きよきもの
恋の記憶〔ほか〕
著者等紹介
松村栄子[マツムラエイコ]
1961年、静岡県生まれ。筑波大卒。出版社勤務などを経て、小説家となり、90年「僕はかぐや姫」で海燕新人文学賞、92年「至高聖所」で芥川賞受賞。京都市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そうたそ
9
★★☆☆☆ 著者による「徒然草」の訳と、各段ごとにエッセイを付す、という構成。改めて「徒然草」を読んでみると何とも新鮮。このタイトルの割に中身に京都要素が全く感じられなかったのが残念。欲を言えば、エッセイももう少し長めのものが読みたかったところ。2024/09/10
アイリーン子
5
吉田兼好『徒然草』の原文・現代語訳にエッセイを付けたもの。高校生のときに原文訳文併録のものを読んだし授業でも何段か勉強した(はずだ)けど、全っ然覚えてなくて自分でも衝撃を受けてしまった。笑 なので新鮮な気持ちで読めた。結構説教くさかったり冷笑的だったり、かと思えばユーモラスでもありまた叙情的だったりと段によってバラエティがあるんだなぁ。現代語訳だけでも十分楽しめたけど、エッセイもするする読めた。まぁタイトルがこれなのにあんまり京都に絡んでないことも多かったのでそこはちょっと残念だったかも。2016/01/17
B.J.
4
京都検定二級合格💮したものの、祇園祭をまだ観ていない。初めて観る前におさらい♬2023/07/13
Noelle
4
徒然草がとても身近な感じで紹介されていて、兼好さんのエッセイと、著者の軽妙洒脱なコメントでできている。プチテーマごとに章段をまとめているのも、読みやすい。時には兼好さんはそういうけど、私はこう思うわ、的なコメントがまたいい。既出の解釈のうち、普通じゃない方に沿って書いているというあとがきも、もの書きならではの自負とともに著者らしい徒然草になっていて、ほっこり読めて面白かった。兼好さんの東西比較論のコメントで、兼好さんがコテコテの京都人なのか、はたまた異説の東国出身かで解釈が変わるというのも興味深い。2019/03/11
Jun Shino
3
「延政門院いときなくおはしましける時、院へ参る人に御言づけとて申させ給ひける御歌。 ふたつもじ牛の角もじすぐなもじ ゆがみもじとぞ君はおぼゆる こひしくおもひまゐらせ給ふとなり。」 後嵯峨上皇の皇女である延世門院さまが幼くあらせられたとき、上皇の御所に行く人にご伝言された歌。 ふたつ文字(こ)牛の角文字(ひ)まっすぐな文字(し)ゆがみ文字(く)とぞあなたを思う。 お父様がこひしく思われますと詠まれたわけだ。 「僕はかぐや姫」などの著者で芥川賞作家松村栄子が読み解く。一番心に残った段でした。2020/09/03