内容説明
温泉地をまわっていて、そのいくつかの場所で「湯が重い」という言葉を聞いた。おそらく湯のなかにいろいろな成分が溶け込んでいて、その感触を表現しているのだろう。温泉の達人や温泉に関係して働く人がよく使う「専門用語」のようだ。もとより温泉の達人でもなく、まして学者でもない。ただ他人より少しだけ温泉が好きで、なのに、風呂はカラスの行水で、でも温泉となると長湯してしまい、それがわが家の風呂だとあまりきれいに洗わないくせに、温泉だと泡だらけになりながらゴシゴシとやっている、そんな性格である。どの湯がどの湯より重くて、どれだけ重さに違いがあるのか、などということは到底はかれない。なんとなく「うん、これは重い…のかな」と感じる程度である。しかし、日々「書く」ことに携わっているからには、そういうわけにもいかない。説明されたことだけを記述していては情けない。その温泉にまつわる歴史、人、そこに集まってくる人々、湯船に揺られて考えたこと、思い出したこと、そんな「あれやこれや」をできるだけ盛り込むようにしたつもりである。
目次
京都の出で湯(丹後(久美浜温泉―一度に100人は入浴できる、広さが魅力の天然露天風呂;木津温泉―一250年も昔、天平の僧侶行基が発見したシラサギの湯 ほか)
丹波(夜久野高原温泉―丹波の高原、夜久野に誕生した木の香りが新しく懐かしい温泉施設;あやべ温泉―国宝光明寺二王門の膝元に湧いた山里の出で湯 ほか) ほか)
滋賀の出で湯(湖北(北近江の湯―「てんねんいいふろ」の日にオープンした湖北の天然スパリゾート;須賀谷温泉―湖北路、浅井長政公のお膝元に湧いた黄金色の秘湯 ほか)
湖東(近江温泉―工場建設用地が転じて温泉施設になった湖東の出で湯)
湖西(マキノ白谷温泉―日本でも珍しいカタカナの町に湧いたひらがなのように素朴な温泉;くつき温泉―村おこしで生まれ変わった総合スパリゾート ほか) ほか)