内容説明
シリア人の大学教員の父、フランス人の母のあいだに生まれた作家の自伝的コミック。激動のリビア、シリア、そしてフランスで目にした、現在につながる混乱の根源とは?第42回アングレーム国際漫画フェスティバル・年間最優秀作品賞。
著者等紹介
サトゥフ,リアド[サトゥフ,リアド] [Sattouf,Riad]
コミック作家、映画監督。1978年パリ生まれ。シリア人の父とフランス人の母の間に生まれ、幼年期をリビア、シリア、フランスで過ごす。2010年『Pascal Brutal』第3巻でアングレーム国際漫画祭・年間最優秀作品賞を受賞、2015年にも『未来のアラブ人―中東の子ども時代(1978‐1984)』で2度目の受賞を果たす。自ら脚本・監督を担当した映画に『Les Beaux Gosses(いかしたガキども)』(2010年セザール賞・初監督作品賞)などがある
鵜野孝紀[ウノタカノリ]
1967年東京生まれ。1995年から2013年までパリの日本漫画出版社スタッフを務めた後、フランス語翻訳・通訳。また日仏双方向で漫画やバンド・デシネの出版企画に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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どんぐり
80
フランスのバンド・デシネ(漫画)。サトゥフが描くのは、父親から「未来のアラブ人」と呼ばれていた自分と独裁国家シリア。翻訳本はこれまで4巻訳されている(原著は6巻まで)。本書はその1巻の子ども時代(1978-1984)の6歳まで。シリア人の父とフランス人の母の間に金髪の髪をもって生まれ、フランスからリビア、そして父親の生まれた「女たちはホコリと汗のにおい、男たちは小便と汗のにおい」をもつシリアに移住する。カダフィほど好きじゃなかったというシリアは、当時アサド大統領父が統治していた。→2024/10/23
アキ
65
フランスで200万部を売り上げたバンド・デ・シネの第1巻。僕の名前はリアド。2歳。父はシリア人でパリで母と出会う。大学でドクターを取得し、教員としてリビアへ。1980年カダフィ大佐の独裁政権。「緑の書」にカダフィの思想が書かれており、アラブ連盟創設を目指していた。パリに帰ると何もかも違って見えた。パリで弟ができ、シリアに移住が決まり、ダマスカスへ。あらゆる場所にアサドの肖像があり、町には処刑された人が野ざらしのまま晒されていた。夏休みにパリに戻り、シリアで新学期が始まる。全6巻。未来のアラブ人になれるの?2019/09/06
たまきら
38
先月アサド政権が崩壊した。70年代から続いていたパパ&息子によるシリアの独裁をどうやって振り返ろうか…と思ったとき、ヤマザキマリさんがそういえば推薦していたな…とこのマンガを思い出した。78年生まれ、シリア人の父を持ち、幼少期をリビアとシリアで過ごした「金髪のアラブ人」である著者。彼の記憶と未知の世界への困惑は、そのまま日本人女性である私の困惑だ。革命を語る父がフランス人の母や周囲の女性に当たり前のように強制する「因習」に(しょせんそんなものなんだよな)と既視感を覚える。2巻へ。2025/01/04
yyrn
21
日本ではよほどヘマをしなければ飢えることはないだろう。土地を耕せば食糧を作り出せるし、木々には実がなり、川や海からは新鮮な魚介類も手に入る。でも草木の生えない土地が広がる中東諸国では、生きるために平気でウソをつき、他者のモノを奪い、強権によって命さえも奪われたりする。そんな荒んだアラブの日常が作者の幼児期の記憶からリアルに再現される本。フランスで資本主義に触れ、民主主義を学んだのになぜそんな理不尽なアラブの世界に妻子を連れて戻るのか?この奇妙なフランスのマンガを読みながら考えたが、日本人の私には分からない2020/01/08
めえめえ
12
シリア人の父親とフランス人の母親に生まれた著者が幼い頃のアラブの暮らしの記憶を描いた漫画。フランスでは200万部を超えるベストセラー。カダフィに崇拝する父親の仕事の都合でリビア、シリア、フランスと渡り歩いたそうです。この頃はシリアも今のような状態では無いとは言え、郊外の街は貧しい人ばかり。豊かなフランスを何故飛び出してまで?と思いましたが父親の信念は固い。フランス人の母親はさぞかし苦労したと思います。第二弾もあるそうです。2019/12/01