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内容説明
シャルリ・エブド襲撃で、「軽さ」を失ったカトリーヌ。「人生の補佐役」たるプルーストゆかりの地をめぐるも、なにも感じない。事件で犠牲になった仲間の言葉も思い出せない。1月11日、フランス全土で400万人がテロに抗議する「共和国の行進」。暴力のツナミの後にきたのは支援のツナミ―。そんな「1月7日症候群」を相殺するため、スタンダールが経験したように「美に埋もれ、溺れたい」と願い、彼女はイタリアへと飛び立つ。美と文学で悲しみを乗り越える1年間の喪失と回復の記録。
著者等紹介
ムリス,カトリーヌ[ムリス,カトリーヌ] [Meurisse,Catherine]
1980年生まれ。25歳のときに風刺画家のカビュに誘われ『シャルリ・エブド』に加わり、報道マンガの世界に入る。2016年に退社し、現在は寄稿していない
大西愛子[オオニシアイコ]
1953年、東京生まれ。フランス語翻訳・通訳。父親の仕事の都合でフランス及びフランス語圏で育つ。バンド・デシネの翻訳多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
145
不倫相手から別れを告げられた翌朝は遅刻...、それが彼女を助けた。苦しみ、問い続け、風刺画を自らのために描く。彼女が死者達を呼び出して共に描いただろう場面の痛ましさ...。「カラシニコフ兄弟...、ドストエフスキー」「あの日の前に何度も言われたこと~ゴミみたいな雑誌で他人の死を笑って恥ずかしくない?あなたに同じことが起きたら?~きっと死者達は生きてる人達に代わりに笑ってくれと言うわと答えてた」「私はシャルリとみんな言う、で、私はだれ?」 冒頭のニーチェの言葉「真実によって滅びないため、我々は芸術を持つ」2019/03/11
どんぐり
63
パリで起きたフランスの風刺新聞社「シャリル・エプド」襲撃事件の生存者の喪失と回復の記録(フランス式漫画/コミック=バンド・デシネ)。2015年1月7日、武装した覆面男2人が編集会議中の社員に発砲し、12名が死亡。本書の著者カトリーヌは、たまたま会議に遅刻したため、その場に居合わることがなかった。遅刻しなかったら、今頃は生きていない。「なんでみんなテロって言うんだろう。あれは虐殺よ」と、その場に自分を重ねて、生き残った者の罪悪感(survivor's guilt)に苛まれる日々。「普段ならプルーストのことを2019/07/06
Chicken Book
9
はじめてバンド・デシネに挑戦。日本語の言葉遊びがわかるから日本人に生まれてよかったと思うことが多々あったけど、フランス人はフランス人で同じようなことを思うのだろう。事件の内容や、筆者がその後どのように軽さを取り戻したか、中身は面白く読めたし、絵も簡単な線なのに美しさのある筆遣いでとてもいい作品だったけど、これを真に楽しむにはフランス語やヨーロッパの一般教養、そして美術に精通するしかないんだなと思った。2022/02/24
takao
2
ふむ2025/06/13
まるのすけ
2
初のバンド・デシネ。 襲撃事件・テロに巻き込まれなかった、残された作者の自己回復を主題にした作品。 知らないことが多く書かれていて、発見多数。 知っていることや共感・巻き込み型のファンタジーではなくって、と、フランス作品を見ると高畑勲さんのことを思い出す。 作者の他の作品も読みたくなった。2025/04/12