自閉症の哲学―構想力と自閉症からみた「私」の成立

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  • サイズ B6判/ページ数 248p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784763408235
  • NDC分類 369.28
  • Cコード C3010

内容説明

自閉症を通じてよみがえるカント、フロイト、ラカン。特別支援教育の現場から得た知見をもとに、自閉症者・「健常」者の経験の成り立ちの違いを詳細な哲学的議論によって活写。

目次

第1章 「自閉症の哲学」とは何か―自閉症の学説史を素描しながら(カナーとアスペルガーによる自閉症の「発見」;カテゴリーからスペクトラムへ;自閉症の「原因」をめぐる学説の変遷;サイモン・バロン=コーエンの「共感」と「システム化」;ウタ・フリスによる自閉症の統一的把握;どのようにして自閉症を哲学するか)
第2章 構想力と自閉症(構想力とは何か;“直接性に依存する構想力”;“システム化する構想力”と“共感する構想力”;“定型発達的構想力”)
第3章 精神分析と自閉症(フロイトにおける一次過程と二次過程;一次過程から二次過程への移行;ラカンの鏡像段階論)

著者等紹介

相川翼[アイカワツバサ]
1989年生まれ。2016年、早稲田大学大学院社会科学研究科修士課程修了。現在、慶應義塾高等学校社会科(公民)講師。公立小学校特別支援学級介助員。専攻は哲学(哲学的自閉症論、現代資本主義論)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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またの名

14
諸説乱立し何が正しいか判らなくなってる自閉症理論とカント哲学を重ね合わせ、直接的な構想力の上に成り立つシステム化する構想力と共感の構想力との二分化、及びどちらにも偏らない定型発達的構想力を仮定(構想力はカント語で統合的に働く想像力)。カントやフロイトで自閉症学説を言い換えるメリットは?と読者が考えてるうちに、ラカンまで動員して統合失調症の妄想とは異なるとされるファンタジーの特徴付けにも挑む。自閉症を象徴界の過剰に見る本書とは反対に象徴界の脆弱さで考えるラカン派もいるので決定的な議論でないものの終始、明晰。2018/07/19

がりがり君

4
哲学と自閉症は未読。精神分析と自閉症で自閉症を精神文政に説明する試み。簡単に言っちゃえばラカンの言う大文字の他者に自分の姿を映し出すのだが、自閉症ではそのメカニズムが不完全なまま大人になるのではないか≒世界に自分が不在な状態になっている。これは経験則とよく一致している。欲を言えば反抗期を残り変えた少年の大文字の他者とか対象aにまで踏み込んでほしかったが、それは本書の範疇外、ということで中途半端な所で終わる。2021/04/18

Haruki

1
定型発達~自閉症の地続きの把握を目指し、従来のバロン=コーエンやフリスの説を上書きを企む意欲作。初期発達/カナ―型様の「直接性に依存する構想力」、アスペルガー症候群的な「システム化する構想力」、ダウン症的な「共感する構想力」の3種類のイメージ形成力としての構想力を提示する。さらに発達過程としてフロイトの一次過程、二次過程に上記概念も対応させ、その鍵として「不在」への気づきが否定の象徴(~超自我)の内在化を促し、自己意識が成立する(一次→二次)。自閉症的とは一次の直接性のみか、システム化に偏向した状態。2023/06/25

1
哲学と医学の両側面から、人の思考のあり方を照らし出す。カントとフロイト、ラカンを結びつける。背景にはハイデガー。2018/03/31

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