内容説明
栄光のヌーヴェル・ヴァーグ以降、フランス映画はどのような運命を辿ってきたのか?映画に浸食する数の論理、業界の力学、押しつけられた価値観―日本人の知らない現代フランス映画の状況と展望。気鋭のパリ在住日本人ライターが迫る、芸術大国の苦悩と模索、そして光明。
目次
第0章 現代フランス映画の健康診断
第1章 テレビ&映画、お見合い結婚の破綻
第2章 シネコンが後押しする数の論理
第3章 自己チューな作家主義の蔓延
第4章 真のプロデューサーの不在
第5章 批評はどこへいった?
第6章 希代のヒットメーカー、リュック・ベッソンの場合
第7章 現代フランス映画に好転の兆し
著者等紹介
林瑞絵[ハヤシミズエ]
1972年北海道札幌市出身。育ちは関東(東京、神奈川、埼玉を転々)。成城大学文芸学部ヨーロッパ文化学科卒業。大学卒業後、映画会社2社にて宣伝を担当。退社後、映画ライターとして活動。98年夏に渡仏。映画専門だったが、子育て、旅行、フランス文化一般と、何でも屋ライターになりつつ、ときどき紙芝居屋に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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garth
4
ここで指摘されているフランス映画界の諸問題は、そのまま日本映画界にもあてはまるものである(というか、日本の方がはるかに酷いが)。そのことを認めた上で言いたいが、筆者は結局作家性にすぐれ芸術性が高い映画がもっと作られてヒットすべき、と考えているように思われる。だが、テレビ局主導の空疎な大作も、それを見たがる観客がいるから作られているのだ。テレビ局やプロデューサーだけを悪人して済む問題ではない。2011/05/14
takao
3
ふむ2023/12/04
つまみ食い
3
フランス現地で生活している書き手ということもあり、少し古くなってしまったが出版された2011年当時のフランス映画の現状と歴史、30年代や5,60年代の黄金期と比べた問題が産業や制度面に光をあてて詳しく述べられている。またデプレシャンやシマンといった監督、批評家へのインタビューも含まれており、著者のインタビューが巧みであると感じた。2022/08/19
Mikio Katayama
2
商業主義と作家主義によって激しく揺さぶられ、病状を悪化っせていったフランス映画。綿密な取材によって、フランス映画の衰退と頽廃を5つの観点から分析し、そして再生への希望の道を探る。シニカルで厳しい揶揄に、映画愛に満ちた作者の身もだえを感じる。2017/04/09
dubstepwasted
0
フランス映画に蔓延る作家中心主義とそれを上手く扱うプロデューサーの不在。かつては戦略だった作家中心主義や批評文化ものが今では時代錯誤の長物に。それと同時に大資本映画による文化的占領。フランス映画の希望は「中間映画」にある?2014/05/10
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