内容説明
これまでの常識や理論ではとらえきれない日本の若者・子ども現象についての大胆な試論。「小学生が殺人!」という「驚き方」は、大人の無知の証明でしかない。世界に類例のない世代間の断絶が、なぜ日本で生じたのか?消費文化、情報社会の大海を生きる若者たちの、喜びと困難を描く。
目次
第1部 若者たちに何が起こっているのか(家庭と学校と消費文化と;新人類以降 ほか)
第2部 消費文化の大海を生きる若者たち(サブカルチャーの絶大な威力;ゲーム・コミックからケータイへ ほか)
第3部 縁辺化する若者たち(青少年の縁辺化と教育改革;ライフコースの大転換に直面する若者 ほか)
第4部 心の情景(「キレる若者」という幻想;時代を映す少年期暴力 ほか)
著者等紹介
中西新太郎[ナカニシシンタロウ]
1948年生まれ。東京都立大学人文学部卒。鹿児島大学教育学部勤務を経て、1990年より横浜市立大学国際文化学部勤務。現代日本社会論・文化社会学を専攻領域とし、オウム真理教事件をきっかけに、近年は子どもや若者の成長にかかわる文化現象に関心をもつ
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感想・レビュー
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きいち
9
若者論とは大人論。若者たちが置かれている環境とその環境への対応の仕方は「社会の隣人」として理解可能なものだよ、と教員を始めとする「大人」たちに向けて冷静に語った本。世代間でむやみに断絶を煽るのではなく、ちゃんと同じ言葉と考え方を使って。上の世代から見れば、消費文化の中で思春期を送った昭和40年代以降の生まれは皆同じカテゴリに見えるということも理解できる。実際、もはや世代の差よりも「こだわり」の種類の異なるグループ同士の違いのほうが大きくなっているのかもしれない。必ずしも階層の違いだけじゃないのが救いか。2013/02/28