内容説明
本書の課題は、現代の日本社会に生きるわれわれが日常生活の中でほとんど無意識に採っている立ち居振る舞いにはおのずと前近代以来の時間の堆積が表れているであろうが、この堆積を時代小説における人間の探求のうちから掬い出し、そこからわれわれの学ぶべきことについて考察するということである。
目次
1 時代小説における人間の探求―藤沢周平の作品を手がかりに(われわれは時代小説に何を求めるのか;作者と作品との関係;人間と自然との関係;人間と人間との関係 ほか)
2 時代小説の時間感覚と人間像―藤沢周平の作品を手がかりに(街の光景―「いま」、「むかし」の道を歩くということ;自己と世界との関係における個人の人生の意味づけ;時代小説における自己と世界との関係;作品を読むということ ほか)