内容説明
仏教絵画の中でも、とりわけ、地獄極楽図は、列島民衆社会に広範に拡がっているが、なかんずく、地獄図は、常に苦しい現実に直面していた民衆にとっては切実きわまるものとして受け取られていた。本書はこのような地獄図とその絵解き、文学との関係を論じたユニークな一書であり、著者が長年にわたって一貫して追究してきた研究の成果である。
目次
地獄絵と文学―西行の連作「地獄ゑを見て」を中心に
地獄絵と説経師
冥界への旅―「死出の山」と「三途の川」をめぐって
わが国における十王経―奪衣婆の所伝を中心に
中国における目連救母説話の変容
わが国における目連救母説話の変容
目連説話における目連救母経の意義について
『もくれんのさうし』の誕生―わが国における目連救母説話の母胎について