内容説明
研究を進めれば進めるほど、私たちがこれまで抱いていた幼児に対する考え方がいかに誤っていたかを思い知らされました。私たちは、幼児のことはなんでも知っていると思い込んでいますが、その実、ほんとうの幼児の姿をほとんど知らないのです。そのため、幼児に対する教育も、脳細胞ができあがってしまう三歳以後になってはじめて、何を教えるべきかで大騒ぎを始めるのです。
目次
1章 幼児の可能性は三歳までに決まってしまう(幼稚園に入ってからでは、もう遅い;どの子も0歳からの育て方ひとつで能力を伸ばしていける;幼児教育は天才をつくるためのものではない ほか)
2章 幼児の能力を最大限に伸ばす育て方・環境づくり(幼児の能力は遺伝よりも教育・環境が優先する;学者の子だから学者に適しているとはかぎらない;人間の赤ん坊でも獣の中で育てば獣になる ほか)
3章 ほんとうの幼児教育は母親にしかできない(ビジョンをもたない母親に子どもの教育はできない;女性にとって育児ほどたいせつな仕事はない;幼児教育は母親教育から始まる ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あすなろ
76
ソニーの井深氏が1971年に書いた本。これだけで凄い。45年以上読み継がれている。昔、本屋で勤めている時にセレクト面陳した本で、自分に子供が出来たら読もうととって置いた本。内容が古くないところがまた恐ろしい。根幹は、子供は環境によって形成されていくということ。育児中絶はしてはならない。そこの貴方。オモチャ箱ひっくり返しやお茶が溢れるからと子供を止めてはいけない!それは、想像力。親は、子が何に育つか自ら発見出来る為の選択可能性をなるべく豊富に与えてやることが勤め。彼等の見ている世界は大人とは違うのである。2017/11/05
りょうみや
12
再読本。ソニー創業者が71年に書いた育児本。日本に3歳児神話を広める先駆けになったとか。部分部分を見ると現在にも通じる育児論だが、子供の才能は3歳までの教育と環境次第として、遺伝の影響を否定しているのが特徴。たしかに3歳までで脳細胞の配線の大部分は出来上がり、幼児教育は非常に重要だが、「3歳までの頭にはどんなにたくさんでも詰め込める」などは誤解を招きやすく、「天才はこの世に存在せず、教育次第で天才は作れる」と極端な才能後天説に傾斜しており、今の私から見ればかなり違和感のある記述と言える。2018/11/17
シンジ
7
再読。世界のソニーを育てた井深大さんの幼児教育論。40年以上前に出版された本であるが、昔の教育も現代の教育もさほど変わっていないように感じてしまうことに、違和感を感じる。「興味が意欲を生み、そして、意欲だけが人間を進歩させていくのです」。興味を育ててあげることが大切。我が子ももうすぐ2歳。親がしっかりと未来へのビジョンを持たないといけない。○2016/07/19
i
2
アンチ本を先に読んでから読んでみた。詳細は微妙なとこもあるけど、3歳までの働きかけの重要さはあらためて感じたので、いい本だと思う。自分が産まれる10年以上前に書かれてるというのはすごい。2013/01/23
きくえ
1
乳幼児の早期教育のさきがけとなった本なので、詰め込み教育を進める本かと思っていたけれど、そうではなく割と思ったより普通の本だった。音楽教育の話が多く若干の偏りは感じるし、今ではデマとわかっているオオカミ少女も繰り返しでてくるので、おゃ?と思ってしまうこともあるけれど、子どもを2時間土蔵にほって置かれた子どものことが岡田 尊司の「シックマザー」に似たような話があったなとか、乳幼児の良質な保育についてはヘックマンの論文にあるようなかんじで、1971年当時でこの話は画期的かも!と思いました。面白かったです。2012/05/29