内容説明
チェコ・グランド・デザイン最優秀イラストレーター賞、受賞作品。
著者等紹介
コシュトコヴァー,ロマナ[コシュトコヴァー,ロマナ] [Ko〓utkov´a,Romana]
ブルノ・マサリク大学で美術史とミュゼオロジーを学んだのち、ホドニーン市美術館内にある子どもアトリエの設立に尽力する。美術に親しむことを目的とした教材も手掛け、その活動はチェコ国内でよく知られている
ヴルコヴァー,ヴェロニカ[ヴルコヴァー,ヴェロニカ] [Vlkov´a,Veronika]
ブルノ工科大学美術学部マルチメディア学科にて学ぶ。水墨画に興味を持ち、中国へ留学して伝統的な絵画技法に触れた。以来水彩による繊細で詩的な表現を続けている。シュラーメクとの合作で手掛けた作品は高い評価を得ている
シュラーメク,ヤン[シュラーメク,ヤン] [〓r´amek,Jan]
ブルノ工科大学美術学部にて学び、現在、同大ビデオ学科にて教鞭をとるほか、アーティスト、イラストレーターとしても活躍し、ロンドン、ニューヨークなど国外のギャラリーでも作品を発表している
小川里枝[オガワリエ]
成城大学大学院文学研究科美学美術史専攻博士課程前期修了。高崎市美術館で「ボヘミアガラスの100年展」を学芸員として担当後、4年間プラハに滞在。チェコの工芸や文化を日本に紹介している。チェコ工芸研究家、ヴィオルカ主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
198
チェコの絵本。藍染めを救うお人形アポレンカ(光の少女という意味)のお話。藍染の匠を受け継ぐ職人(マイスター)に捧げられています。藍建てという古い技法、藍染めの素晴らしさが丁寧に描かれ、日本人の心にも素直に響きます。作画にどこか東洋っぽさを感じるのは、中国への留学経験のあるヴェロニカさんが描いているだけではないのかもしれません。2024/03/31
ぶんこ
38
表紙から絵本の中にも藍染め色の模様がたくさんあって、見ているだけでホレボレとしてきます。藍染め、いいですね。てっきり日本独自の製法だと思い込んでいました。子どものいないおじいさんとおばあさん。技を継承する人のいない寂しさ。そんな時、森に散歩に行った時、泥だらけのお人形を拾い。綺麗に洗った翌朝、なんと女の子になっていました。「光の少女」という意味のアポレンカと名付け、藍染めの技を教えていきます。アポレンカは、藍染めがこの世から消えてしまわないようにとつかわされたと悟る。藍染めって、心にしみわたりますね。2024/03/19
ケ・セラ・セラ
29
表紙の藍、見返しの草花がとても綺麗な装丁。藍染めの濃淡の滲み感が見事に表現されている。さらに本文も藍色の濃淡で描かれているのはいいのだけれど、文がうねるように描かれているのは、おそらくは布が揺らぐさまを表しているのだろうけれど、酔ってしまいそうでちょっとやり過ぎ感。工房で伝統の藍染めを仕事とするおじいさんとおばあさんのもとに現れた女の子。藍染めの工程が一つ一つ丁寧に描かれている。チェコの藍染め、そして日本の藍染めを知ることにつながる伝統文化を描いた分類番号7の絵本。小学校中高学年ならばあとがきの解説まで。2024/02/25
ベル@bell-zou
28
失われようとしていたチェコの藍染め技術が突如現れた少女アポレンカへと受け継がれていく物語。染めムラの濃淡を藍染め模様や文章の文字にまで表現。動植物から木型や道具に至るまで温かい色合いの丁寧で美しい絵がとても素敵。世界各地で異なる植物と技法が用いられる藍染めだが化学的には酸化と還元を繰り返す同じ技術が独自に受け継がれているという解説に唸る。藍染めの奥深さを知り藍の色を改めて好きになった。"母から受け取ったバトンは藍という色だった"志村ふくみさんの帯。[チェコグランドデザイン最優秀イラストレーター賞受賞作品]2025/04/27
クラムボン
28
表紙の藍染めの色とデザインが素晴らしいですね。2018年にチェコとその周辺国の藍染の伝統的な技術が、ユネスコの無形文化遺産に登録された。この絵本はチェコの地方美術館の教育担当キュレーターが、子どもたちにその伝統を伝えるためにイラストレーターらと共同で作成した。絵本の中の藍染の布は、水をたっぷり含んだ紙に吸収させると現れる濃淡によって表現されているそうで、にじみやぼかし具合が本物の藍染めの質感を感じさせる。そこに型染めされた布はとても魅力的だ。…ではあるが、その他のことは今一つ物足りない気がする。2025/03/25