内容説明
物語の舞台は16世紀初頭のイタリア・フィレンツェ。主人公は、巨匠ミケランジェロの乳兄弟、傑作“ダヴィデ像”のモデルになった18歳の美しい青年ガブリエル。田舎から出てきた若者が、貴族の未亡人の愛人となり、ほかに複数の女性と関わりながら、フィレンツェの複雑な政治情勢の中で共和派のスパイとなって、“ダヴィデ像”の完成を機に始まったメディチ派と共和派の戦闘に巻きこまれていく…。ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、モナ・リザ、ボッティチェリ、枢機卿ジョヴァンニ・デ・メディチ、フラ・ジローラモ・サヴォナローラなど、歴史上の人物が登場する、イタリア・ルネサンスの時代を描く本格歴史エンターテインメント。
著者等紹介
ホフマン,メアリ[ホフマン,メアリ] [Hoffman,Mary]
イギリスのハンプシャー州生まれ、現在オックスフォードシャー州在住の児童書作家。邦訳に『ストラヴァガンザ』シリーズ三作、『聖人と悪魔―呪われた修道院』(以上、小学館)など
西本かおる[ニシモトカオル]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
17
ダビデ像のモデルがミケランジェロの乳兄弟だったという設定で書かれたフィクション。2022/10/20
くるり(なかむらくりこ)
4
ミケランジェロのダヴィデ像のモデルとなった、架空の青年ガブリエルが主人公。美しさゆえに女性関係で複雑な状況に陥り、さらにメディチ家追放後のフィレンツェの政治闘争にと巻き込まれていく。設定や展開はメロドラマ風でもあり、史実をもとにした骨太な歴史フィクションでもあり、物語の密度が濃い。ガブリエルも、その乳兄弟という設定のミケランジェロも、ダ・ヴィンチをはじめその他の登場人物も、みんな声が聞こえてきそうな生き生きとした描写で、本を読んでいるというより、映画のように目の前でどんどん物語が展開していく感覚だった。2022/08/01
いっこ
4
図書館新着本の情報だけ読んで借りたのだが、ちょっと間違ったかな。フィレンツエの当時の様子、ダヴィデ像創作のエピソードは面白かったが 「弟」ガブリエルがいささかお行儀が悪く、塩野節に慣れた身には「おやおや」と思うところが多かった。表紙のダヴィデの顔も、ちょっと違う。2022/07/06
しのぶ
3
「ダヴィデ像」のモデルになった、ミケランジェロの乳兄弟ガブリエルの物語。冒頭に史実と虚構についての言及と、地図があったのが親切。この本の存在を知ると同時にダ・ヴィンチと弟子のサライを描いたカニグズバーグの『ジョコンダ夫人の肖像』を思い出しましたが、彼らの造形もとてもよかった。馴染みのない登場人物もいっぱいで混乱もしたけれど、綺羅星のごとき才能が集まったこの時代の物語は文句なしに魅力的。私という人間は政治の話より芸術の話題の方に食指が動きがちなんだなぁと再認識もしたけれど。行ってみたいなぁ、フィレンツェ!2022/06/04
トト
3
16世紀初頭のイタリアフィレンツェに生きたミケランジェロを中心とした架空的歴史小説。義弟を有名なダヴィデ像のモデルとする設定で、彼目線で描かれる。メディチ家と共和派の政治的な派閥争いと芸術に花咲いた当時の状況が、現代風なタッチで親しみやすい。ダヴィデ像のモデルになるだけあって、イケメンだから、まあモテます。そしてすぐ惚れます。ゲスな少女マンガの様でもあり、架空だからこそ、エンタメとして楽しめます。2022/06/15