目次
1 論攷(「革命文学」における文学言語観―李初梨「怎様地建設革命文学」を中心に;成〓(ほう)吾における「文学観」の変遷
魯迅の言語観と「抗い」をめぐって
「阿Q正伝」から考える魯迅―極私的魯迅観
アジアをいかにして考えるか―戦後日本思想界のアジア)
2 雑攷(三・一一における魯迅体験;解題『人間毛沢東』『毛沢東思想の原点』;中国革命は終わったのか―丸川哲史著『魯迅と毛沢東―中国革命とモダニティ』;「中国的文脈」を理解することの困難と可能性―我々の中国理解をかえることは可能か?;『津村喬精選評論集』書評;現代中国認識のより一層の深化のために(座談会))
3 翻訳(張新穎 個人の苦境から歴史伝統における「有情」を体得する―沈従文の土地改革期の家書を読む;韓〓(いく)海 長き革命 毛沢東の社会主義
孫歌・陳光興 文化「間」実践の可能性
孫歌 東京停電)
感想・レビュー
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オオタコウイチロウ
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自身の論攷三本、张新頴、韩毓海、孙歌·陈光兴の翻訳がやはり重要。思いがけずに良かったのは韓氏のもの。後期創造社の「政治」への「転向」は、じつは、従来批判されてきたように「政治」への小児左翼病的な従属ではなく、無条件に存在する(とされていた)現実を、透明な言語(近代抽象「概念」)を以って遍く描けるとした五四文学(「近代」)そのものに対する、イデオロギー暴露であったと言う。なるほど、そうであってこそ、その自覚的反転として、文学をイデオロギー上の「武器」としうる「プロレタリア文学」への道が開けたと述べる。2021/03/01