出版社内容情報
虐待やネグレクト,親との離別等,人生早期の逆境体験が積み重なり複雑性トラウマをもつ子どもたち。その心の動きや行動はしばしば周囲の人にとって理解・対処が難しい。自身や他者の心理を推測するメンタライジングを中心に,神経科学や発達心理学を統合した治療作業を通じて,子ども・養育者・支援者の関係再構築を図る。
【目次】
目次
日本語版によせて(1)
日本語版によせて(2)
推薦のことば
複雑性トラウマをもつ子どもの治療
謝辞
序論
第1節 子どもたちとの出会い
第2節 本治療ガイドで扱う(扱わない)子どもたち
第3節 本治療ガイドが対象とする読者
第4節 本治療ガイドの概要
第Ⅰ部 理論的背景
第1章 複雑性トラウマに対する現代の精神力動的な見方とアプローチ
第1節 複雑性トラウマとメンタルヘルス上のニーズ
第2節 複雑性トラウマの治療に対する精神力動的アプローチの基本的な前提
第2章 複雑性トラウマが子どもの発達の4つの領域にもたらす深刻な混乱
第1節 遊びとナラティブに表れる表象能力
第2節 感情発達と感情調整の方略
第3節 アタッチメントの発達と関係性構築能力
第4節 自己感とアイデンティティ
第3章 複雑性トラウマが養育者や支援者のメンタライジング能力にかける負荷
第1節 トラウマをもつ子どもの養育や支援に伴う負担
第2節 複雑性トラウマをもつ子どもの養育や支援におけるメンタライジング
第Ⅱ部 3本柱から成る治療アプローチ
第4章 3本柱から成る治療アプローチ──主な特徴と基本原則
第1節 3本柱から成る介入
第2節 二人一組のセラピスト:メンタライジング的チームに埋め込まれた,メンタライズし,やりとりする2つの心
第3節 基本的な原則と態度
第5章 「家族の中の子ども」の発達アセスメント
第1節 〔セラピーを〕開始する前に:道を切り開くこと,障害となる物事を特定すること
第2節 アセスメント・プロセスの構造
第3節 第1ステージ:関係性の構築に取りかかりニーズを明確にすること
第4節 第2ステージ:子どもの発達アセスメントを行う
第5節 第3ステージ:理解の共有と治療の焦点の共有を模索する
第6節 まとめ
第6章 子どもとの直接の治療作業
第1節 発達の回復の背景となる,セラピー内外のマインドフルな人間関係