出版社内容情報
人は,他者に対しても自分に対しても様々な「決めつけ・思い込み」を自然な性(さが)として意識せずに行っている。そして,それらは,他者や自分が傷ついたり,人間関係が悪化したりすることに強く関わっている。決めつけや思い込みから脱し,人を柔らかく冷静に理解するための視点や考え方を,具体策を交えながら提言する。
【目次】
まえがき
序章 筆者の思い・ねらいと本書の概要
さまざまな決めつけ・思い込みの遍在とその弊害,そして,筆者の思い
「知識を使って,感じたり,思ったり,考えたりする」心の働き
本書の概要
1章 人の行動の状況依存性および自動性を踏まえない自動的特性推測
同様のことを示唆している2つの有名な研究
人の行動の状況依存性
人の行動の状況依存性を踏まえない自動的特性推測
人の行動の状況依存性を踏まえない自動的特性推測に関する種々の補足
連合ネットワーク
人の行動の状況依存性を踏まえない自動的特性推測に関わる心理過程
人の行動の自動性と,それを踏まえない自動的特性推測
認知の状況依存性
2章 ステレオタイプ的認知
ステレオタイプ的認知とは
分類という思考の弊害
ステレオタイプおよびステレオタイプ的認知の自動性・無意識性
ステレオタイプ的認知の非合理性・不当性
ステレオタイプの不当な形成過程
ステレオタイプおよびステレオタイプ的認知の性質
ステレオタイプおよびステレオタイプ的認知の弊害
ステレオタイプの形成やステレオタイプ的認知を助長しているであろう言葉
3章 事前印象やステレオタイプに沿った選択的情報処理
いったん精神病だと思われると―ローゼンハンさんの実験
「~だろう」が「~にちがいない」に:ダーリーさんとグロスさんの実験
本章で伝えたいことの要点
情報処理のステップごとの選択的情報処理の内容
事前印象やステレオタイプに沿った選択的情報処理に関する補足
4章 「では,どうしたら良いのか」についての提言
なぜ,決めつけや思い込みがなされやすいのか
では,どうしたら良いのだろう:クリティカル・シンキングの薦め
クリシンの効能
クリシンをする必要性が高いのは,どのようなときか
クリティカル・シンカーになるためには
クリシンに対するクリシンと,それらを踏まえたうえでの主張
5章 種々の補足
他者の認知についての認知の歪み・不的確性に関する種々の現象
顔に基づく印象形成
抑うつ・無力感の発生・増大や自尊