ぼくにだってできるさ―アメリカ低収入地区の社会不平等の再生産

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  • サイズ A5判/ページ数 280,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784762825613
  • NDC分類 368.2
  • Cコード C1036

内容説明

1980~90年代アメリカの労働者階級向けの住宅団地クラレンドンハイツに暮らす2つの若者グループのエスノグラフィ。将来について悲観的であった白人中心のホールウェイハンガーズ。アメリカンドリームを真っ正直に信じこんでいた黒人中心のブラザーズ。8年後に訪れた著者が目にしたものは…。業績主義イデオロギーを無意識のうちに内面化し、階級障壁・人種障壁に翻弄される若者たちの「希望」の行方。P.ブルデューらの理論を批判的に発展させ、「格差」が生み出され、世代を越えて再生産されていく多様なメカニズムを丹念に解きほぐす渾身の一冊。

目次

第1部 ティーンエイジャー時代のホールウェイハンガーズとブラザーズ(チャンスあふれる土地における社会移動の欠如;理論的パースペクティヴにおける社会再生産;クラレンドンハイツの10代の若者たち―ホールウェイハンガーズとブラザーズ;家族の影響;仕事の世界―ハンガーズとブラザーズのアスピレーション;学校―競争へむけて準備中;平準化されたアスピレーション―社会再生産は大きな打撃を与える;再生産論再考)
第2部 八年後―低収入で低い結末(ホールウェイハンガーズ―絶望と向き合って生きる;ブラザーズ―延期された夢;結論―大差をつけられ、見捨てられていると同時にカースト外で)
付録 本書が出来上がるまで

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まつゆう

1
ブルデューやウィリスの理解についてはやや疑問が残るけれども、いわゆる不良っ子のみならず学校文化に乗る黒人についても関心を向けるという問題設定は単純だが明瞭であるし、フィールドワークの厚みからは黒人という問題、階級という問題があまりに複雑に絡まった様を、そして当人に壁としてそびえ立つ様が実によく描かれている。優等生気質の彼らもまた苦しい生活を送る時に漏れる言葉、不良っ子が自分の人生を回顧する時の哀しみ…。社会の矛盾に生きるアンダークラスへの視座に富む労作。2016/09/13

まつゆう

0
改めて読むと筆者の側が変わっていないというか、もっとなにか下層階級の描き方があったのではないかという気もするが、まあ再生産論というのはえてしてこういう見方になるからそこはともかく、主体的に勉学に励む層であっても階級や人種は可能性をゴリゴリと見えない力で削っていくというのがこの本の学問的成果でもあり哀しい色調を帯びることになっている要因でもあるかと。もう少し希望を持って読める本が個人的には良いなあ…。2016/11/25

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