内容説明
文章を読んだり書いたりする時に、心の中で何が起こっているのだろうか。その心のしくみがわかると、読む時・書く時に自分の心を見つめるまなざしが変わってくる。
目次
序章 読者のみなさんに伝えたいこと(「読むこと」「書くこと」のしくみを理解し読み書きの楽しさを知ろう)
1章 読むことはつなぐこと(文から文章へとつなぐ;文を読むためのルール;文をつなぐ推論をしよう;埋め込まれた手がかりに注意しよう;文章構造の知識を使う;読むことのコツ)
2章 理解を確かめる(自分の理解を評価する;批判的読みをマスターする)
3章 書くことは気づくこと(作文の過程とは;プラニングのコツ;推敲は診断)
終章 「読み方上手」「書き方上手」になろう
著者等紹介
秋田喜代美[アキタキヨミ]
1957年大阪府に生まれる。お茶の水女子大学付属中学校、同高校卒業。東京大学文学部卒業後、銀行員、専業主婦を経て、東京大学教育学部へ再び学士入学。同大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。現在、東京大学大学院教育学研究科助教授(学校心理学、発達心理学)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
29
読み・書きの過程で頭に何が起こっているのかを示すことで、身につけられるスキルとしての読み・書きの上達へといざなう。◇読むことは、新たに得た情報と、自分が持っている知識や世界観ものを合わせ、自らの頭の中で構成すること(再読で別の作品と思うのも当然のことだ、半分違ってるのだから)。読みには正解がないが、同時にスキルの熟達度は測れることもわかる。◇そして書きの過程は、自分の作った文章を「読み」、次の文章を書く往復の過程でもある。とりあえず書き始めることの大切さ。◇そして、「心」のほうには何が起こってるのだろう?2016/05/08
Moca
16
読む力と書く力を身につけれる本。 この本書は中高生向け対象として、わかりやすく書かれた本書なのである。 本を読むのには、正しい情報もしくは文章なのかをよく読んで判別することが重要である。 正しい文章を読む解くためにしっかりと文章を読むべきだ。 要するにこの本書が伝えたいことは、正しく書かれた文章を読んで、そこから知識を得て、作文やレポート・論文を誰にも伝わるような文章で書くことが重要だ。
いよ
6
昨日から今朝にかけて読む。地元図書館で借りた。中高生の棚にあっただけに、内容は中学生向きだが、きちんと中学生以上が読んでも発見のある内容になっている。従来の読み書きの本にプラス心理学と言った内容で、分かりやすい範囲で心理学用語が出ている。こうするべきだ、という体験談より、データに基づいた人の心からどう書くのが書きやすいか、ということが書かれている。2016/09/22
愛奈 穂佳(あいだ ほのか)
5
【心の琴線に触れた言葉】読むことはもの作り、組み立て作業と述べました。しかし一方では、もの作りとまったく違う面もあります。それは、そこにあるものだけをつないでつくるのではなくて、つなぎ手の側がすでにもっている知識を使うことで、文字で書かれていないことまで頭で推論しながら、橋を渡してつなぐこと、さらに文章が表そうとする意味の世界をつくりあげていくことです。2013/11/20
たりらりらん
4
読むこと、書くことはそれぞれどのような機能によって行われていくのかということを認知心理学を援用しながら、平易な文で説明する。さまざまな実験や実践が具体的に書かれているので、感覚的に理解しながら読み進めることができる。読むことは能動的な行為なのだという指摘は興味深い。受動的に読んでいるつもりでも、言葉と言葉は能動的につながれていく。本当に驚いたのは著者の経歴。学ぼうと思ったときに行動を起こすということを実際に体現した方なのだな、と思う。2011/08/17