内容説明
私たちは、相手を尊重する気持ちや思いやりのこころの欠如から生じている深刻な社会問題の解決をめざす必要があります。21世紀を迎えるにあたって、人を支える行動の研究は、現実の問題解決に貢献することを社会から強く期待されています。そして研究者は、その期待にこたえて、解決に役立つ理論モデルや研究パラダイムを示す必要があるでしょう。本書「援助とサポートの社会心理学」の特色の一つは、このような社会的要請や最近の研究動向を考慮して、現実の社会問題と人を支える行動との関係を中心に構造されていることにあります。現在あるいは近い将来、私たちの身のまわりで起きるさまざまな問題の解決に、援助やサポートを研究する者がどのように寄与できるのでしょうか。本書では、その可能性を社会心理学の立場から探っています。
目次
第1部 だれを助けるのか(青年の援助とサポート;高齢者の援助とサポート)
第2部 どんなとき助けるのか(学校における援助とサポート;近隣社会における援助とサポート;災害時における援助とサポート)
第3部 これからの課題―今後の援助・サポート研究(援助行動への生態学的アプローチ;ボランティア活動の動機と成果;セルフ・ヘルプ―助けることは助けられること;社会的ネットワークと生涯発達;対人関係の光と影)