内容説明
心理学の本を探せば音楽心理学のことがわかるかというと、まずそんな項目は存在しない。それなのに、世間では「音楽心理学」とか「音楽療法」などという言葉だけが、どこからともなく現われて目の前にちらついている。これでは、「音楽心理学って何?」とたずねたくなるのも無理はない。特に最近は、「音楽」と「癒(いや)し」がセットになって頻繁にマスコミに登場している。いったい「癒し」とは何か、音楽の何がどのように人間に効果をもたらすのかということを曖昧にしたまま、音楽療法のなにやら身近でとっつきやすそうなイメージだけが広まっている。楽器を演奏できる人が、自分にも「音楽療法とやら」ができるのではないかと勘違いしてしまう。そのような、音楽を知っているが音楽心理学に対しては疑問や期待(あるいは幻想)を抱えている人のために、本書の企画は生まれた。もちろん、これから音楽心理学研究を始めようという人にも役立つものである。
目次
1章 音楽心理学の方法
2章 旋律(旋律の音高的側面)
3章 リズム(旋律の時間的側面)
4章 音の響き
5章 音楽の聴取
6章 音楽の記憶
7章 演奏と作曲
8章 音楽療法
9章 音楽と脳
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
陽香
1
201104202016/06/29
T2C_
1
自分が"スゴイ"と思う曲がどのように凄いかを説明したいという欲求から出発し、比較的馴染み深い心理学的観点で書かれていそうな題であったため本書を手に取った。が、その欲求は序盤で打ち砕かれた。影響する要素が多過ぎ、また主観に依存し過ぎるためだ。そして本書はこれらの限界を多少細かく説明するものの、打破の展望は示唆されていない。もし冒頭で述べた凄さを客観性を以って説明するなら、演奏の難度を示す方向で学んだ方が良いかな、という知見を得るに留まった。別枠であるが、個人的に音処理の発達段階の話は小話として面白かった。2016/06/01
Albert.Kafka
0
「音響心理学」の教科書である。2015/11/07
えみりおん
0
書いてある事は大変有用な事ばかりなのですが、残念ながら読みにくい。 改行や一字下げが少ないためポイントが分かりづらく、また文章中に頻繁に挟み込まれる丸括弧の注釈はストレスを招きます。 その辺をクリアにした改訂版などを期待したいところです。2013/04/11