内容説明
新生気論、観念論的形態学が未だ残存し、さらにその反動として極端な還元主義が台頭する19世紀末に、生命現象の複雑さを直視してそれを首尾一貫して物理化学的法則で理解しようとした分子生理学の先駆者の足跡。実験生理学的手法を切り拓きながら、植物学者から植物生理学者、さらに一般生理者へと変身してゆく研究者像が、ザックス、ダーウィン等々、当時の自然科学者との交流や激論を通して描かれる。
目次
序および略歴
自然科学に対する基本姿勢
ペッファーのたどった学問の道筋―製薬学・化学・植物学・生理学・細胞生物学・分子生物学
浸透圧の発見と原形質膜の存在の予言
原形質膜―「原形質に仕える門番」
単細胞生物は基本的に生物としてのすべてを備えている
単細胞生物の感受性の研究―80年の空白の後「ペッファーへの回帰」
生物における反応の誘発の研究―神秘の衣をはぎとり機械的な概念へ還元
制御とフィードバックの研究
生理学的研究のために開発された種々の技術〔ほか〕
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