内容説明
人間の危機と環境の危機への思想からの応答。孤独な理性から、内省的理性と公共的理性が響き合う理性へ―機械論的世界観の批判的考察から現代社会を考える。
目次
第1章 批判的哲学のあり方
第2章 コギト原理と機械論的世界観
第3章 近代の規範理論
第4章 労働力商品と商品交換者
第5章 国民国家と官僚制
第6章 格差問題と環境問題
第7章 共同体と公共圏
第8章 正義とケア
第9章 グローバルな社会へ
終章 脱近代の世界観へ
著者等紹介
大倉茂[オオクラシゲル]
1982年生まれ。広島県出身。専門は、哲学、倫理学。人間とはなにか、社会とはなにか、自然とはなにかという問いに関心がある。前橋高等看護学院、茨城大学、東京農工大学非常勤講師、立教大学兼任講師。博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Sero
1
2回目読み終えたが、より深く読めたのかどうか。作り手と読み手との意識の差というものはおそらく完全には取り除くこと、解消することはできないとは思うけれど、少しでも込められた魂の片鱗に触れられたら幸いだと思う。一度目は急いで読んだためとても浅くなってしまったが、今回は時間をかけ読み解く事に努力した。正義とケアについては特に興味惹かれるため丁寧に読んだ。我々が日常的に使用する正義の意義とは違うけれど、辞書にある定義を除けば確たる定義づけとはそもそも難しいものなのだと思う。曖昧で多様化する価値観は学問上重要だね。2016/03/08
おいしんご
0
機械論が非常に丁寧にまとめられていてこれまでの復習もかねてとても勉強になった。よく考えてみると社会で起きる色んな問題の根底にはこの機械論的世界観が共通してあることが見えてくる。その意味でそれを理解しておくことは現代社会を批判する上で非常に重要だ。本書の目指すところとしての脱商品化は、結局は「あなたがだれでもないあなたであることはどいういことか」という問いの答えを探すことなのかもしれない。だから、哲学は強烈にやさしいのだ。2016/02/26