内容説明
私たちが失ったものは何か。今、そして、これから向き合うべき問題は何か。社会の基層から噴出する構造の「ひずみ」と人びとの「叫び」、私たちは、このことにどう迫るのか。今、求められるのは、現代社会の基底に横たわる社会問題の実相を抉り取り、新しいパラダイムの構築へと向かうこと。生きるとは何か、豊かさとは何か。時代をリードする研究者たちが社会問題の最前線に挑む。
目次
第1部 理論編 「社会的排除/ソーシャル・インクルージョン」とは何か(ソーシャル・インクルージョン概念の可能性;ソーシャル・エクスクルージョン/インクルージョンの有効性と課題;「公共」から「交響」へ―生存の可能性に向けて;若年層の貧困化と社会的排除)
第2部 応用編1 社会的排除の諸相(若年労働市場における二重の排除―「現実」と「言説」;ホームレス「問題」の過去と現在―「包摂‐排除」論をこえて;ひとり親家族と社会的排除;同性愛と排除;医療における排除―後期高齢者医療制度を事例として;障害児・者に対する社会的排除とソーシャル・インクルージョンをどうとらえるのあか?)
第3部 応用編2 地域の排除と再生(「社会的経済」の担い手による「社会的排除との闘い」の展開と課題―イタリアの社会的協同組合の歩みと岐路を題材に;共に生きる地域社会をめざして―地域を耕す更生保護の諸活動;バリアフリー・ツーリズムの手法による地域再生;山村集落の過疎化と山村環境保全の試み―「棚田オーナー」制度を事例に、社会的排除論との接点を探りつつ)