内容説明
本書は、法学や経営学のアプローチではなく、経営学のアプローチ、即ち情報の経済学と契約の理論でコーポレート・ガバナンスを考察したものである。本書は、基本的には株主兼債権者としての投資主体、このような投資主体である銀行、及び銀行の主導で成り立つ金融システムとコーポレート・ガバナンス制度に重点をおいて、規範的及び事実解明的理論分析を行っている。さらに、その理論的分析から得られた結論は、中国での国有企業の改革を論じる際に、どのような政策的含意があるのかを、現実問題と結合しながら分析を行い、中国のコーポレート・ガバナンス制度の改革に政策提言を試みたものである。
目次
序論 コーポレート・ガバナンスの課題
第1部 基礎的理論分析(コーポレート・ガバナンスの原点:所有と支配;コントロール・メカニズムとしての金融契約)
第2部 比較制度分析(金融システムとコーポレート・ガバナンス;日本のコーポレート・ガバナンス)
第3部 理論応用と政策分析(問題所在:中国国有大企業の非効率と「所有権の失敗」;改革方向:銀行中心の金融とコーポレート・ガバナンスへ;政策提言:中国へのメインバンク制導入の必要性と可能性)
著者等紹介
任雲[ニンウン]
1966年中国湖北省松滋市に生まれる。1988年北京師範大学物理学部卒業、北京師範大学物理学部助手等を経て、1993年来日留学。1994年9月から桜美林大学大学院国際学研究科修士課程に進学、1999年9月同大学院博士後期課程修了、学術博士(2001年3月)。桜美林大学産業研究所特別研究員を経て、2001年4月から同大学国際教育センター専任講師
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