内容説明
本書では、主にはマルクスとフォイエルバッハを取り上げる。そして、彼らの近代批判の思想において生命への定位が本質的とも言える重要性を持っていることを明らかにしてみたい。その際、現代社会が提起している問題群の所在を常に念頭におくことにしよう。人類が初めて経験している歴史段階を自覚的に意識しながら、19世紀を生きた思想と対峙する必要を痛感するからである。その上で、フォイエルバッハとマルクスの応答関係をふまえて、Lebenカテゴリーを読みの軸として初期マルクスの思想形成過程をあとづける。さらに、これをふまえて、マルクスの中・後期の思想に連ねてその思想的原像を探ってみたい。
目次
序章 資本制社会と生の論理
第1章 諸個人の有限性と生―フォイエルバッハの宗教批判の論理
第2章 人間的自然論の祖型―フォイエルバッハの感性的な「生命発現」
第3章 初期マルクスの思想形成と生命―『経済学・哲学草稿』「ミル評注」まで
第4章 マルクスの「生命発現」の論理―シュティルナー批判への視点
第5章 生の把握におけるマルクスとエンゲルス―『ドイツ・イデオロギー』最旧稿(第1篇第1ブロック)
第6章 諸個人の生と近代批判―『ドイツ・イデオロギー』第3篇以降
第7章 諸個人の生と労働力商品の独自性
第8章 物象化と生の疎外―ルカーチの「静観的態度」批判