内容説明
心理学概論というべき標題ではあるが、その内容は精神医学総論といっても良い部分もある。本書には米、英はいうに及ばず、ドイツ、ロシアの心理学説、またフランスの心理学者の業績も数多く紹介されており、現代の心理学および精神医学がどのようなものであるかが良く理解出来るものになっている。ことさら心理学とことわってあるのは、機能的な面、いわば精神生理学的、社会精神医学的、またパーソナリティに関する面などについて豊富かつ実証的な研究成果が紹介されているから。また精神分析については多数の頁をさいて詳述されているばかりでなく、その現代における意義および精神分析に対する批判についても解説されているために、その位置づけがよく理解できる。
目次
心理学の定義および方法―その隣接諸領域との関係
現代心理学の動向―心理学の分類、医学的心理学
感覚および知覚―神経生理学的基礎
知覚―心理学的および精神病理学的側面
要求、本能および欲動―神経生理学的基礎
葛藤、傾向および動機づけ―欲求不満という観念
情動および感情―神経生理学的基礎および感情的発達
情動の異常―気分、その調節およびその不調
習得の過程
記憶およびその神経生理学的基礎―記憶の解体〔ほか〕