内容説明
2007年に特別支援教育が法制化され、8年が経過しました。その間2012年には中央教育審議会から「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」の報告が出され、2016年4月1日には、いわゆる「障害者差別解消法」が施行されます。このような状況下、学校現場では、具体的にどのようにインクルーシブ教育を進めていけばいいのでしょうか。この難しくも希望のある問いに、編集代表の青山新吾氏を筆頭に、8人の論客が挑んでいます。
目次
第1章 インクルーシブ発想とは?
第2章 私が考えるインクルーシブ発想の教育(インクルーシブ教育を実践するための学校づくり・学級づくり;アクティブ・ラーニングから見たインクルーシブ教育;アドラー心理学から語るインクルーシブ教育;『学び合い』から見えるインクルーシブ;キーワードは「仲間」;多様性を認め合い、「うちの学校・地域の子」へ;インクルージョン・インクルーシブ教育に対する提言)
第3章 これから僕らの進む道
著者等紹介
青山新吾[アオヤマシンゴ]
1966年兵庫県生まれ。ノートルダム清心女子大学人間生活学部児童学科講師。岡山県内公立小学校教諭、岡山県教育庁指導課特別支援教育課指導主事を経て現職。臨床心理士、臨床発達心理士、学校心理士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐藤一臣
15
インクルーシブの理念は、障害者・問題児自身を教育して変えたり隔離したりすることではなく、先生やクラスの仲間である健常者らが、彼らの目標をそれぞれ達成できるように環境を整え適宜支援することらしい。それぞれの個の違いを認めつつ、同じ時空間で目標達成につなげることなんですね。従来の能力別クラス編成をほぼ完全否定しています。我々は一人ののけ者もいない状況の中で暮らしていくのだという思いがありますね。平等ではなく公平の価値観が色濃いな。2017/09/11
じゃがたろう
2
タイトルの通り、インクルーシブ教育ってどんな教育?と感じている人にオススメの作品。入門書でもあり、クリティカルな論が展開されている。教育に携わる人は読んでおきたい。青山先生の著書は1ページ辺りの字数が多くなく、かつ全体のページ数もコンパクトというイメージ。要点をまとめて発信することは読者にとって、ひいては教育を受ける子どもたちにとっても還元させやすいのかもしれない。2024/04/18
kurokaworld
2
本書で用いられている「インクルーシブ『発想』」という造語により、その目指す教育の在り方がよくわかった。授業改善の「視点」だと言われるようになった「アクティブ・ラーニング」同様、方法論ではない。あくまでも「発想」なのだ。その発想のもとに様々な教育活動を行い「誰もがお互いをインクルードする」ことを目指す。新学期、新年度を前に、学級の在り方を見つめ直す視点になる。2017/01/06
chietaro
0
インクルーシブ教育や合理的配慮という言葉が最近教育の世界で話題です。言葉だけ聞くと難しいのですが、この本を読むと身近なことなんだと感じます。また、アクティブラーニングにも通じるところがありそうです。インクルーシブ教育と共に学ぶ必要がありそうです。2016/08/15
U-Tchallenge
0
インクルーシブ教育について改めて考えたく読み返した一冊。インクルーシブとはプロセスのことであり、これをすればインクルーシブ教育というのはないことを確認した。よって、自分の中にある「当たり前」を問い直すことが必須なのだろう。インクルーシブというとても難しいことに挑んでいかないといけない。もちろん、困難さはあるが、誰もが生きやすい社会を目指すためのチャレンジだと思えばやりがいがある。困難な道ではあるが、その道を少しずつでも進んでいきたい、と強く思った。2023/01/12