出版社内容情報
伝統構法による建物は、地震動の種類に応じて、効果の期待できる耐震補強がある。一方で、誤った構造特性の理解、思い込みによる部分最適化の耐震改修は、逆に災害時に被害を大きくすることになりかねない。適切な方法を選択することによって、伝統構法のもつ「ねばり強さ」による耐震性能を、きちんと引き出すことができる。
【目次】
まえがき
■1. 伝統構法と安全性の基本
1.1 伝統木造建物のいろいろ
1.2 伝統構法は「総持ち」で成り立っている
1.3 安全性の物差し(指標)とはどのようなものか
1.4 重要な構造部材は柱・梁と接合部
■2.地震・地震動と伝統構法の被害
2.1 地震と地震動は区別する必要がある
2.2 海の地震と陸の地震の違いとは
2.3木造耐震化の歴史
2.4伝統構法建物の地震被害
■3. 地面と建物の揺れ方を知る
3.1 地震の種類と地面の揺れ
3.2 建物の揺れ方
■4. 伝統構法の壊れ方
4.1 壊れ方の基本法則
4.2 接合部の壊れ方
4.3 垂壁付き柱の壊れ方
4.4 伝統構法は滑って免震しない
4.5 柱の歩きと建物の滑りの違い
4.6 柱通しと梁通し
4.7 理解したい架構の抵抗特性・変形特性
■5.耐震診断の考え方と耐震補強のポイント
5.1 耐震診断とは
5.2 耐震診断のポイントと注意点(限界耐力計算を中心として)
5.3 補強時のポイントと注意点
5.4 耐震診断・耐震補強のチェックリスト
■6.知っておきたい安全性の調べ方・考え方
6.1 微動計測の使い道
6.2 木材の強度を傷つけないで調べる
6.3 建物の潰れ方(崩壊形)を調べる
6.4 通し柱効果を考慮した限界耐力計算
■7. 理論とデータで学ぶ伝統木造の安全性
7.1 1自由度系の振動特性の基本
7.2 限界耐力計算における地震荷重
7.3 性能等価応答スペクトルによる最大応答変形の略算
7.4 地震荷重の今後
7.5 京町家の構造調査
参考文献