出版社内容情報
建物の高さは都市のあり方に大きな影響を及ぼすが、その規制は緩く紛争が各地で続いている。そのため強制力をもった高さ規制(高度地区)の活用例が増え、高さの目安を示す景観計画も広がってきた。そこで高さ制限の歴史を踏まえ有力な上記2手法の運用実態を示し、高さ制限を活用したまちづくりの手引きとして本書を纏めた。
はじめに
○1章 高さ制限の歴史的変遷
1・1 戦前における高さ制限(市街地建築物法下の高さ制限)
1・2 戦後における高さ制限(旧建築基準法下の高さ制限)
1・3 高度成長期における高さ制限(容積制全面導入後の高さ制限)
1・4 安定成長期における高さ制限
1・5 バブル期以降の高さ制限
1・6 歴史的変遷からみた高さ制限の特徴
○2章 高さ制限の実態と課題
2・1 高さ制限の手法とその課題
2・2 高度地区の指定状況とその特徴
2・3 景観計画の策定状況とその特徴
○3章 高さ制限を活用したまちづくりの事例
3・1 古都・世界遺産の景観保全のための高さ制限
京都市:三山に囲まれた古都の歴史的景観保全(高度地区等)
大津市:近近江新八景ルールによる琵琶湖・比叡山等の眺望景観保全(高度地区等)
3・2 城下町の景観保全のための高さ制限
松本市:松本城天守を中心とした景観保全・形成(高度地区・景観計画)
佐賀市:佐賀城公園周辺における歴史的景観保全(高度地区・地区計画)
3・3 庭園・社寺の眺望景観保全のための高さ制限
北区:旧古河庭園からの眺望景観保全(高度地区・景観計画)
宇治市:平等院鳳凰堂からの眺望景観保全(高度地区・景観計画)
3・4 門前町等の歴史的街並み景観保全のための高さ制限
伊勢市:伊勢神宮周辺の門前町における歴史的景観保全(高度地区・景観計画)
太宰府市:太宰府天満宮参道周辺の街並み景観保全(高度地区・景観計画)
3・5 水辺の景観保全のための高さ制限
諏訪市:諏訪湖畔・高島城周辺の景観保全(高度地区・景観計画)
犬山市・各務原市:木曽川沿いの広域的な景観形成(景観計画)
3・6 山の眺望景観保全のための高さ制限
鹿児島市:桜島・城山への眺望景観保全(高度地区・景観計画)
望景観保全
岐阜市:金華山・長良川への眺望景観保全(高度地区・地区計画)
3・7 都心景観の保全・創出のための高さ制限
中央区:銀座ルールによる街並み景観の保全・創出(地区計画・自主ルール等画)
大阪市:御堂筋における街並み景観の保全・創出(要綱・地区計画等)
3・8 大都市における市街地環境保全・形成のための高さ制限
新宿区:広域的な住環境保全・形成(高度地区・地区計画)
札幌市:全市的な住環境保全とスポット的な制限強化(高度地区・地区計画)
3・9 都心近郊住宅地における住環境保全のための高さ制限
横須賀市:広域的な住環境保全と海辺の眺望景観保全(高度地区・景観計画)
芦屋市:閑静な住宅地における住環境保全(高度地区・地区計画)
3・10 地方都市における住環境・景観保全のための高さ制限
山形市:文翔館の眺望景観保全と広域的な住環境保全(高度地区・まちなみ協定)
水戸市:歴史的街並み景観保全と全域的な市街地環境保全(高度地区・景観計画)
○4章 高さ制限を活用したまちづくりに向けて
高さ制限の意義・役割
高さ制限の実施にあたってのポイント
【著者紹介】
1974年茨城県水戸市生まれ。 東京工業大学大学院社会理工学研究科社会工学専攻博士課程修了。博士(工学)。 財団法人土地総合研究所研究員を経て、東京工業大学大学院総合理工学研究科人間環境システム専攻助教。 専門は、景観・都市計画。 2009年日本都市計画学会論文奨励賞受賞。