出版社内容情報
「建築のリレー」としてのリノベーションはオリジナルの保全でもなく、改変部分を際立たせるデザインとも異なる。一見どこをきれいにしたのか分からない兜町第5平和ビルのリノベが評判を呼んだ。好きな人が一人いれば良いと蔦を残した蔦の家、再開発で痛んだ街の傷口を癒やす新築・シモキタフロントなど、東京R不動産でも著名なSPEACの設計を担う著者の仕事と考え方を紹介する。
【目次】
第1章 建築はリレーだ
1-1 建築と記憶
1-2 リノベーションと保存の現在地
1-2-1 建築はリレーだったはず
1-2-2 モダニズム以降のリノベーションのデザインについての疑問
1-2-3 建築の保存についての疑問
1-3 リノベーションのデザイン――建築の古い部分と新しい部分の関係
1-3-1 ポルトガルの「新旧を織り込む改修」
1-3-2 京都市京セラ美術館のリノベーションデザイン
1-3-3 日本橋高島屋――村野藤吾による増築に次ぐ増築のデザイン
1-3-4 東大寺法華堂 古くから伝わる新旧を調和する手法
第2章 文脈をつなぐこと――日本橋兜町でのリノベーション
2-1 日本橋兜町――再生事業への経緯
2-1-1 兜町の歴史
2-1-2 平和不動産による兜町再生のはじまり
2-2 再開発は外科手術、リノベーションは漢方
2-3 兜町第5平和ビル/旧第一銀行附属新館――時の経過を表す再生
2-3-1 金属パネルで覆われた設計者不明の大正時代のビル
2-3-2 建築の事業主と設計者が工事中に判明
2-3-3 旧第一銀行附属新館のリノベーションのデザイン
2-4 旧うなぎの松よし――老舗の物語を引き継ぐ
2-4-1 金融街のうなぎの記憶
2-4-2 並走していた再開発ビルの完成
2-5 兜町第7平和ビル――旧ATMコーナーをオープンスペースに
2-5-1 オープンスペースを成り立たせる不動産的算段
2-5-2 オープンスペースのネットワークを考える
2-5-3 開きつつ閉じてまちとの連続性をつくる
2-5-4 まちの文脈のつづきで考えると魅力的な場所ができる
2-6 建築のリレーで見えたこと
第3章 まちの文脈から使い方を考える
3-1 蔦の家――古さや手作りを楽しむ人を呼び寄せる
3-1-1 思い出の家が真新しくなるのは嫌だ
3-1-2 まちの文脈を読んで使い方を考える
3-1-3 たとえ100人に1人でも熱いファンがいれば良いとするデザイン
3-1-4 建築の年齢を偽らないデザイン
3-2 ビジネスインのむら――前用途の痕跡を残しながら新しい用途を考える
3-2-1 レトロなビジネスホテルからのオファー
3-2-2 ビジネスホテルからオフィスへの転用
3-2-3 まちの歴史、家業の歴史に向き合う
3-2-4 これまでの人とこれからの人のためのデザイン
3-3 まちの文脈に接木をするように考える
第4章 家族の思い出を未来へ開く
4-1 パブリック・ハイツ――思い出の品の再編で住空間をつくる
4-1-1 親子二代が願う継承
4-1-2 家族の歴史を空間の中に編纂する
4-1
-
- 和書
- かまぐれ往来