出版社内容情報
街を強くするという拡大志向の開発が、実際には
塚本由晴氏(建築家・東京工業大学教授)推薦!
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東京を硬く脆くしているのではないかと、
この本に集められた柔らかい東京は問いかける。
東京の「成長なき繁栄」は
ここから始めるしかない。
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世界のどこにもない東京の最大の魅力は、再開発ラッシュで危機に晒されるヒューマンスケールの商いや居住の集積にある。横丁、雑居ビル、高架下、暗渠等で営まれるパブリックライフを現地調査とデータ解析により図解。大企業主導の再開発から、ボトムアップでレジリエント=創発的な都市設計へのシフトを説く画期的都市論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほなみ
6
読書会で紹介を受けたことに加え、都市開発や空間論が気になっており読了。 都市空間を6つのパターンに分けて解説しており、自分がよく行く街なども写真付きで紹介さてりいたり普通にテンション上がる。 都市開発というと大手や公共団体による上からの開発のイメージであったがそれだけでもないんだなと。 住宅が細分化されていく様や、郊外から都心への回帰、大型建物の防火的役割など。知らないことだらけ 都市空間を知るとただ街を歩くだけで気づきが増え楽しくなるからもっともっと知りたくなる2024/09/29
snzkhrak
2
横丁、高架下、好きな空間達ばかりだな、と軽い気持ちで選書。デベロッパーの働き掛け以前に所有者とすれば、1件の売買にしても、大勢での再開発への参画にしても、悩みに悩み抜いて実行された話である事は間違いなく、そんなに簡単な話ではない。通常都市計画では無視されてしまうような密集地域の植木鉢プロット図には執念を感じた。企業主導の都市開発について非常に手厳しい論述が並ぶ。耳を塞ぎたくもなるが、こういう方々にも理解が得られる成功例を作りたいとも思う。何故なら我々は横丁や高架下が好きな一市民同士でもあるのだから。2022/10/25
skr-shower
1
他地区図書館本。高架下・暗渠ストリートは好きと思い手に取った。専門的な本でした…各地区の詳細図・断面図・断面パース・用途図など見てるだけでも楽しい。ゴールデン街・アメ横・原宿・中延・月島など知ってる町が出ているので親近感有り。2023/01/28
しゅう
1
東京の都市に対して、わたしたちが抱いている様々な情景を包摂して、創発的アーバニズムの視点に根差した都市デザインの価値を提言している。 現代の民間ディベロッパーによる再開発(=企業主導アーバニズム)のアンチテーゼであり、建築・土木のデザインを住民参加・ボトムアップで実践することを目指す人たちを勇気づけるような論である。 個人的には、総合設計制度により生まれた公開空地への批評が印象的で、パブリックスペースはどうあるべきかを考えさせられる内容。 横丁、雑居ビル、高架下建築、暗渠、低層密集地の分析も面白い。2023/01/15
gden
1
★★★☆☆ 題名に惹かれ選書。制度・歴史背景により形成された(=創発的)東京のアーバニズムを5つ例示し、デベロッパー等の企業主導開発と対比する内容。 筆者は創発的を是とする主張だが、両者は簡単に二項対立できないと考える(本書の物質性と精神性然り)。企業主導は物質として均質空間だとして、東京の次世代創発性は制度化された均質空間をハックして生まれるソフト行為になるのだろうか。 デベロッパーとしては当然均質ではない空間を提供していく存在でありたいし、創発性と企業主導のハードとしての共存については今後も考えたい。2022/10/10