内容説明
本書は自閉症をどうやって克服したかというものでもなければ、母親としてどんなに苦労したかを綴ったものでもない。そこに描かれているのは、犀川京子さんという一人の女性が、長男・良くんを授かってから現在までどんな風に生きてきたか、その生きざまそのものである。良くんが自閉症とわかるまで、わかってからの苦しみ、悩み、そして与えられた数々の希望を、包み隠さず自分の言葉で淡々と綴っている。自分自身が進むべき方向が見えなくなったとき、常にその道しるべとなったのが、息子が授かった「自閉症」だったのである…。母親が綴った本音の記録。
目次
1 自分の土台が壊れていく中で(心の中の小さな声;自閉症…;廃墟の中で見えてきたもの ほか)
2 新しい世界が見えてきた(新しい故郷、ユージン;高い期待;多様性を讃える ほか)
3 希望の風―一人ひとりがもたらすもの(自分が自分でいられること;自閉症の子供をもつ自閉症スペシャリスト;外からのコントロールを内からのコントロールに ほか)
著者等紹介
犀川京子[サイカワキョウコ]
1977年京都女子大学文学部卒。大阪にてアメリカ人の夫フランクと結婚。1979年に生まれた長男・良が自閉症をもつ。1990年まで大阪府堺市に住み、その後オレゴン州ユージーンに移り、現在に至る。現在自宅で夫とともに技術翻訳業を営む
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感想・レビュー
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Natsuko
14
図書館本。返却日が迫りとりあえずページを開いたらどっぷり浸かった。自閉症の息子の可能性を信じ、アメリカに渡り様々な療育・教育法にチャレンジする母。アメリカの先生は力強かった。迷惑をかけるな、ではなく周りが受け止めようという教育/目標をうんと高いレベルに置く教育法/声さえ嫌な刺激となる聴覚過敏と聴覚統合訓練/各々違う「ご褒美」による動機づけ/内側の声を表現し、心の内側から自分をコントロールできるように/あとがきもいい。自閉症は克服するものではなく、可能性を伸ばし皆が温かい気持ちで過ごすことが目標。2019/07/20